素質しかない男が、最強を目指して無双する物語
@titirou
第1話 他愛もない生活
「ニュースです。」
「一月前に遠征に行った偵察隊、"WPO"が帰ってきたとのことです。」
寝返りをうつたびにギシギシと音を鳴らして、少し耳障りなベッドの上にて、ぐーたらと、使いまわした少年漫画をホコリのかぶったダンベルに立て掛けて、熟読していた。一日中つけっぱなしのテレビからは、久しぶりに興味の湧きそうな話題が報じられている。
「"WPO"か、、、」
そう無意識に独り言をボソッと発したのは、白のタンクトップとそれをinしたパンツを着ている男、アルファであった。
だらしないと隣人から言われることがある。だが、そんなことは彼自身が一番痛感していた。
だらしない彼の考えることはとてもとてもどうでもいいことだった。
「WPOってなんの略語だっけ?」
化石と化した体を強引に伸ばしくぼみだらけの机に手を伸ばす。手にとったのはスマホ。ふと気になったことを瞬時に検索できるとても便利な機器である。だが、便利であると同時に人を駄目にする。アルファが駄目人間になのも言い訳できる。
「えーと、わーるど、ぱとろーらぁ、おーがに、がなぜーしょん?」
単純だ。とアルファは呟く。続けざまに彼は、
「偵察隊、じゃだめだったのか?」
しんと静まりきった。3畳ほどの部屋の中で彼は、自分の哀れな意見に嘆息した。
化石と化した体をほぐさねばと危機感を感じた彼は、走りながら、コンビニへ行って、スナック菓子でも買おうとゆうことを思いついた。まぁスナック菓子を食べながら寝っ転がって、また化石化することはわかりきっているのだが。
そんなことは置いといて、薄っぺらい財布の中を確認し、よしっとつぶやくと錆びついてギシギシと鳴るタンスを開け2年前母親にもらった服を着た。あまり好みじゃない服だったが、他に人前に出せるような服がなかったので渋々着た。
扉を開け目が焼けるほど眩しい光が入るこんでくる。鍵も閉めずに走り出した。
「はぁはぁ」
走るとか少し格好つけたなと彼は後悔した、しかし疲れた反面、風が肌をなでているのが気持ちよかった。
「流石に無理だったか。」
コンビニに着く前に力尽きた彼は、歩くことにした。
「いらっしゃいませ~」
と、聞き慣れたセリフになんとなく黙礼する。
「っと、あげ堅〜あげ堅〜。」
"あげ堅"と呼ばれるポテチを探すアルファ。人差し指で棚をなでるように追い、あげ堅を見逃さないように探す。
「...」
結果から言うと、あげ堅は無かった。1商品ずつ追って探したので、間違いはない。そしてさらに彼を悲劇が襲う。ポテチがない!!!。
その事に気づいたアルファは、脳みそがグワンッ、と揺れるような感覚に襲われ、失神しかけた。大袈裟かもしれないが、本当だ。
「はぁ〜!?」
「コンビニにポテチが無いことなんてあるの。」
怒り気味にぼそっと嘆いたアルファ。
「お、お困りでしょうか?」
そう声をかけたのは、ショートボブのコンビニ店員だった。
コンビニ店員までに不満をぶつけるのは流石に非常識だと思ったアルファは、丁寧に、正直に、状況を説明した。
「あ、あの〜、ポテチがないんですけ...」
「そーですよね。本当にすみません。」
食い気味に謝ってきた彼女は、続けって言った。
「ポテトチップスの原料のじゃがいもがいまよくできてないんだとか。だから、いまポテトチップスが入荷できていない状況なんです。ごめんなさい。」
ニュースでやっていそうな内容だったが、聞いたものの大半を記憶から抹消するアルファにとっては新情報だ。そうだったのかと納得したアルファは
「こちらこそすみません。そうゆうことがあったんですね。じゃ、このチョコレートを買います。」
紳士な返しをして少しでも好感度をあげようとしたアルファに、彼女はいえいえ、と淑女な対応をする。話の流れで強引にチョコレートを買おうとしたアルファは、彼女と一緒にレジへ向かった。
「448円です。レジ袋入りますか?」
「いいえ。ありがとうございます。」
コンビニを後にしたアルファは、なんだかんだ満足気にチョコを口にした。
「チョコうんまっ。」
《続く》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます