楽園殺し

呂暇郁夫

vol.0

鉄の唄




きみの姿を捉えるとき

僕は 心に熱された鉄をみている


きみをみるときにだけ

僕は 失った熱をこの腕に抱いている


飽いている


溶けおちる鉄の垂れゆく先になにもないと知っているから

過去をみている

僕は きみのなかに過去をみている


眠る鉄のみる夢は きみのなかにしか往かない







僕はその確信だけで


眠らぬからだを

冷める体躯を

抱いている



今ここにいるきみのためだけに

この耐えがたき日を   耐え抜いている




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