働き方改革

@pellucid

働き方改革

本作品は、#XR創作大賞 応募作品として作成しました。


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「今日の稼ぎは2万円か。頑張ったな。俺」

携帯端末がいつものように今日の成果を知らせてくれる。

建築現場で存在感を示すことができた。

明日も頑張ろう、俺。


22世紀、あらゆる労働が機械に取って替わられた。

単純労働だけでなく、建築、接客、開発、プログラミング、投資、政治 etc... ありとあらゆる労働は機械化され自動化された。

しかし、作業機械化は早期に実現したが、人間としての判断や思考を再現することができなかった。さらに、責任を機械が代替することができなかった。

その結果、頭脳労働という形の労働形態が一般化し主流となった。


頭にデバイスを直結し、各状況での判断を都度人間ができるようにした。

機械が判断に迷う箇所を人間に代替させることで、機械化社会がスムーズに回るようになったのである。さらに、人間が判断の責任を一部被ることにより、完全自動化の抵抗が少なく、急速に全世界に広まった。

人々は自分の思考を産業機械の一部とし、その対価として金銭を受け取るのである。

肉体が感じる負荷はそれほどではないため、頭脳労働中にも育児、遊び、旅行など余暇時間として充実した生活ができるようになった。


今や人々は、デバイスを装着するだけでその能力に従った金を手に入れることができるのである。


「昔は余暇時間をどう充実して過ごすか、頭を悩ませたんだよなぁ。飯食う時間もなかった。」


しみじみと口に出す。家族との時間や趣味の時間を存分に取ることができ、さらに自分の能力を社会に示すことができている。働き方は大きく形を変え、人間があくせく夜遅くまで働く必要はなくなった。人々は労働からは逃れられなかったが、働くことの意義は人間から奪われることがなかった。

人々は自分の能力を社会に示しながら、自由に生きている。





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