第6話 こどう

みこは私に肩を寄り添わせるようにくっつく。そして、私の手をとり、きゅっと握る。


 私は必死に心を落ち着ける。目をつむり、感覚をシャットアウトし、自分の鼓動だけを数えることにする。


 どくん、どくん。いつもより速く感じる。いち、にぃ、さん、よん、ご………。


 どくん、とくん……どくん……どくん……とくん……。別のがまじる。ああ、みこの鼓動が手を通して伝わってきている。いいや、まとめて数えてしまおう……どうせ数える数字には意味はない。


 ………ろっぴゃくさんじゅうよん、ろっぴゃくさんじゅうご。「すぅ……すぅ……」気づくと、横から寝息が聞こえてきていた。

 

 ああ、よかった。私はほっとした。過ちを再び犯さずにすんだ……。でも、なぜか少し残念な気持ちもしてしまう。


(寝てるんだから少しいたずらしてもバレないよ〜)私の欲望が囁いてくる。たしかにみこは寝たらちょっとやそっとではおきない。朝たまに起きてこないときは私が頑張って揺り起こさないといけなかった。


 少し首を動かし、みこを見る。すぅ、すう。とっても可愛い寝顔だ。


(ほら、キスしちゃいなよ〜)欲望がにやにやと囁く。(もしくは服脱がせてさ、いろいろ触っちゃおうよ)


(ばかやろう!)私の理性は欲望を叱りつける。もう、私は過ちなんて犯さないと決めたのだ。


 目をつむり、欲望をガン無視することに決めた。コイツに耳をかたむけてたら本当に堕ちてしまう。こころを無にする。


 いつの間にか寝ていた。目を開けたときは朝だった。


 みこが寝れないのはたまたまだと思っていた。でもその予想は裏切られた。毎日みこは私の布団によばい……もとい、添い寝をねだるようになった。


 キスをした次の日も、みこは私の寝室にやってきた。

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