第2話 こいごころ

それは出来心だった。


 私の部屋に妹はよく遊びに来ていた。その日も遊びに来て、ゲームをしていた。最近はまっているのは、いろんなどうぶつをよんで、村を作るゲームだ。ゆるくて楽しい。


 みこもお気に入りなようで、二人でここに木を植えようよ、このどうぶつかわいいから贈り物あげようよ、なんて言いあってほんわかと遊んでいた。


 4歳年下のみこは私よりふたまわりほど小さい。抱きしめたらすっぽり収まるサイズだ。二人でゲームするときいつも私は座椅子にあぐらの足を少し広げた格好で座り、みこはその上に体育座りする。


 そんなある時、急にみこのことが愛おしくなってしまった。姉としてではなく、もっと違う愛おしさ……多分恋人とかに対しての。恋愛経験が無いから確証は持てなかったけれど、たぶんそうだ。


 急に溢れたその感情に私自身も困惑した。ぎゅっと抱きしめたい。顔を埋めたい。そんな欲望が溢れ始めた。私は微かに残ってる理性でそれを必死に押さえつける。


 みこはそんな私の心境に気づくわけもなく、のほほんとゲームを続けている。


 こっそり、みこの腕に自分の手をくっつける。邪魔にならない程度に。


「おねーちゃん、ちょっと暑いかも」少しして、みこは呟いた。ぎくり、と心が音を立てる。多分緊張と興奮が混ざって私の体温が上がってしまっていたのだろう。


「そ、そう? エアコンの温度下げようか」ごまかすように私は言う。


「いいよ、服ぬぐからー」とコントローラーを床に置き、寝間着を脱ぎ始める。


 まっ、まずい。今そんなことされたら理性が消えてなくなってしまう。しかし下手な事はできない。それこそ怪しまれてしまう。


「ぬげない……ちょっとひっぱってー」とみこは袖を私に向け、お願いしてきた。


「わ、わかった」動揺を悟られないようにしながら袖を掴み、ひっぱる。


「んーしょっ」ぽんっと上着がぬげる。みこは下に薄い半袖の肌着しか着ていない。色んな部分が見えそうで、自然と目線が下に行きかける。


 ふわり、と匂いが鼻先をくすぐる。甘酸っぱい、汗の匂い。つい、吸い込んでしまう。


「うん、ちょうどいいかな。おねーちゃん、寄りかかっていいー?」


「え、ええ」


「ありがとー」とみこは丸めていた背中を伸ばし、頭を私の胸の谷間にあずける。むにゅん、と後頭部をおっぱいが挟む。いつもしてる事なのに、普段は意識しなどしないのに、今は心臓が高鳴ってしまう。


 ………このままだと、私は手を出してしまう。決して開けてはいけない、禁断の扉を開いてしまう。


「そっ……そろそろゲームやめない?」と私は提案する。理性が決壊寸前まできていた。


「えー。あ、でももうねる時間かぁ……じゃあセーブするね」軽く頬を膨らませながらみこは従う。ほっ、と心の中で安堵する。


 うーん、とみこは立ち上がり、伸びをする。肌着が上にひっぱられ、お腹が丸見えになる。細いけれど、柔らかそう……頬ずりしたいな、と不埒なことを思ってしまう。


「おやすみ〜また明日ね〜」と手を振りながらみこは私の部屋から出ていった。


 ……脱いだ寝間着を忘れて。

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