第176話 赤マフラーとしひさ
さんさん商事による「24時間戦え」の声が株式会社しまづに届いてからある程度たちました。
しまづの社員は働き者ですが、24時間休まず働くのはさすがに無理です。
まして、よそ者のみつなりから上から目線で命令されたのではしまづの名折れ!そう考える社員も大勢いました。
また、しまづの社内では宴会も仕事の内という考えが根強く、この点もみつなりとは考えが違いました。
そして、最大の引き金となったのは、みつなりがしまづ社中に伝授した財テクでした。
酒や米、たばこや芋などしまづの県の主要な品々を値段が安い時に買い占め、高い時に少しづつより高値で売りつけました。
これによってしまづ社内の売り上げはうなぎのぼりになり、社長のよしひろなどはみつなりを尊敬していました。
しかし、これには副作用がありました。
それは、品物がいつも普段より高くなり、しまづの県の民たちが割高の品物を買わなければならなくなりました。
そうすると、その分しまづの県の民たちは貧しくなります。
初めの頃は誰も気に留めてなかったのですが、やがて皆がおかしいと感じるようになりました。
しまづの社中の者たちはそのからくりを理解してからげきおこぷんぷんまるです!
まず、社長のよしひろに話をしましたがよしひろはみつなりを尊敬していて、しかもさんさん商事に逆らうことが出来ません。
話は聞きますが、それ以上の事はありませんでした。
そこでつぎに元社長のよしひさにしまづの社員たちは相談に行きます。
しかし、よしひさは彼らの気持ちはよく分かると言いますが、それ以上の事は口にしませんでした。
こうして、しまづの社員たちは落胆しましたが、最後に希望を見出しました。
それはかつて専務ととしてしまづを支え、さんさん商事に対して強硬派であったとしひさでした。
としひさはしまづ社員たちの声を聞くと「あいわかった!さんさん商事の、みつなりの思い通りにはさせん!!」と力強く引き受けました。
その後としひさはよしひさとよしひろに会談を呼びかけます。
会談はしまづ社中の奥深くの会議室で行われました。
そして、その内容は中の3人以外は誰も知りませんでした。
さて、この会議から数日後、としひさは不満を持つしまづの社員たちを集めてある宣言をします。
「ストライキだ!!!」
この時としひさは首に何故か赤いマフラーを付けていました。
なんでもかつて放送された大河ドラマで死亡扱いされていたにも関わらず、物語中は生存していたある人物の縁起を担いでの事だそうです。
「これ以上のみつなりの横暴を許さないぞ~!」
としひさとしまづ社中のうち約2割の人々が協力してストライキを起こしたのでした。
さて、しまづ社中はどうなるのか?
みつなりはどう出るのか?
次回に続きます。
※赤マフラー、大河ドラマ「北条時宗」で時宗の異母兄であり史実では時宗の命令で殺害されている。
ドラマでは生き残ったことにされたが、その時から赤マフラーを付けていたことから一部大河ドラマファンの間で赤マフラーというあだ名が付けられている。
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