第167話 ナニワトライアスロン最後の海編5
ナニワトライアスロンゴール地点近辺、大会の主催者であるサンサン商事の社長ひでよしはワクワク、ドキドキ、そわそわしながらあわじしま方向の海を注視していました。
すると、遠くから一人、白く大きな体格の選手が見えてきました。
彼は、渦潮も遠泳ももろともせず、突進するかのような勢いでゴールを目指します。
ひでよしにとってこの若者は身内の中でも超が付くほどのお気に入りらしく、姿が見えると声を大にしてガンバレ〇〇と応援します。
(なお、○○はひでよしの声がしゃがれていたのか、よく聞き取れません)
それから少しして、コースの右側、比較的渦がない方向から少数の選手が向かってきます。
地元の海ということで土地勘があったちょうそかべとおおともの選手たちです。
こちらの方のトップはちょうそかべの選手!その少し後におおともが追撃し、残りの二つのチームの選手たちは密集して泳いでいました。
この調子だと両チームのエースが最後に来る、そんな予測をなりあきらは立てました。
コース真ん中からはりゅうぞうじが突進!しかしほとんどの選手が脱落したようで2人ほどのエースと思われる選手がゴールを目指します。
トップを走るサンサン商事の選手の後追いという慎重策で海路をスタートしたもうりとミカワは途中で混乱したようでかなり遅れています。
その中でもやはり海路に強い地元のもうり勢の一部が最後の力をふりしぼって突撃です。
そして、コース真ん中より左側、渦の影響を最小限にすべく、一人、また一人と捨て駒となって道を見極め犠牲になった仲間たちの想いを込めて、スマートさと熱意を兼ね備えた泳法でしまづのエース!とよひさが突撃します。
もはや、ゴールまで渦はなく、仲間もいないとよひさは今まで温存していた体力を最後の追い込みに使う決意を固めていました。
その泳ぐさまはサンサン商事のエースと違い、早く、静かで、美しい姿でした!
こうして、ゴール前、最後の競争が多くの観客注視の元展開することになりました。
続く
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