第166話 ナニワトライアスロン最後の海編4
こちらはしまず勢が集結している海域です。
前方と渦潮のある方向に偵察のような形で人員を配置!渦につかまるか疲労した時にその近くにいる者が進んで偵察をする。
そして、とよひさにとって最善となるコースが開けるように前進する!
これがしまづの作戦でした。
特別な水着を用意して水泳に強く、また若いことで勢いと体力の両方を備えたとよひさにすべてを託す!
最後の決戦までとよひさを温存すべく、しまづの海賊衆と鶴〇OBたちが犠牲になるというまさにしまづにしか出来ない作戦でした。
渦潮を見つけても、出来るだけまっすぐ進めるように、あえて渦のギリギリで泳ぐ選手たち!
トライアスロンの疲れで体力が消耗し、気を抜く暇もなく襲い来る渦潮!
最初は士気盛んなしまづの選手たちが一人、また一人と脱落していきます。
しかし、脱落していった者たちに後悔の表情はなく、むしろ満足気に海を漂っていました。
とよひさはその姿を見て泣きそうになるも、自分の役割は泣くことではなくこの戦いに勝利することだと思い直し、自分を先導する選手たち、渦潮の位置、そしてコースを確認して勝利への最良の選択をすべくスルスルと泳いでいきました。
トライアスロンの行きの海路ではほとんど気づきませんでしたが、なりあきらたちが開発した水着はこの流れの強烈な海の中ではその性能を存分に発揮しました。
水に対する抵抗力の減少、進む方向を変える時の負担の軽減、たまに引っ掛かる海藻などの障害物を取る時も少ない負担で行うことが出来ました。
しまづだけでなく、このころには多くの選手たちが疲れを蓄積していましたが、とよひさはまだまだ体力が温存していて、疲れを溜めることなく、最後の追い込みが出来る状態でした。
既に海路も中盤!各チームゴール前の決戦を意識しつつ、それぞれの作戦、方法でナニワのゴール地点を目指します。
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