第149話 おだわらほうじょうと関東三十年闘争前編
さて、しまづ以外のパピリオンの紹介も今回の会社で最後となります。
トリを勤めるのはおだわらほうじょうです。
実はこの万博、サンサン商事にゆかりのある勢力ほど協力的で、サンサン商事とあまり縁がない勢力は乗り気ではありませんでした。
これだけの大きなイベントの上、ナニワから距離のある東側のいまがわ、うえすぎ、たけだ、ほうじょうなどにとっては予算が莫大で、正直乗り気ではありませんでした。
ほうじょうはその中でも特に消極的でした。
これは、おだわらほうじょうの会社の歴史も大きく影響していました。
日ノ本の東国である関東では昔から規模の小さなお菓子メーカーが乱立して小競り合いが絶えませんでした。
たまに西国から関東を狙って進出する企業もありましたが、関東の特殊性のためことごとく撤退を余儀なくされていました。
そんな中、名家いまがわで役員をしていた、そううんなる人物が関東に新会社「おだわらほうじょう」を設立します。
彼の凄い所は、関東の癖の強いお菓子メーカーに、安い値段で原材料を売り込み、また彼が持つコネを使っていまがわの地や西国に東国の菓子を売り込んでいきました。
しかも、連合に入れば、基本、社内の決めごとにほうじょうは口を出さないという取り決めも行いました。
これにより、約30年間、バラバラだった関東のお菓子メーカーはおだわらほうじょうの元で一つになりました。
そして、月日が経ち、子会社にも優しい方針は孫のうじやすにも引き継がれました。
こうして、「おだわらほうじょう連合」として、関東の多くを束ねる巨大企業が誕生しました。
しかし、中身は以前のまとまりのない会社の連合体であるため、何か新しいことをするのは苦手な体質でした。
同様に以前も述べた通り、会議の時には沢山の海千山千の役員があれこれ意見するのでなかなか決めごとができず、出来ても時間がかかる体質でした。
次回に続く
※題名の関東三十年闘争は、戦国時代の前に関東が麻のように乱れ、各豪族が争っていた関東三十年戦争から拝借しました。
当時の坂東武者はかな~り面倒くさい存在でまとまりがなく、一族の間でさえ争いが絶えない乱世でした。
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