第117話 ひでながドケチ日記その1
サンサン商事副社長ひでながは「ドケチ」です。
以前も紹介しましたが、スーパーでビニール袋のロールを空にするほど持って帰ったり、風呂の水を何日も使ったりする筋金入りです。
ある時、みつなりが社内を見回っているとひでながが沢山の歯ブラシを買った袋を持ち歩いています。
流石のひでながも歯ブラシまではケチらないんだなあとみつなりはほっとしました。
そしてひでながにこう尋ねます。
「さすがにひでなが様も歯ブラシにはお金をかけるんですね」
それに対してひでながは意外そうな顔をして答えます。
「別に奮発したわけではないが・・・」
後日みつなりが副社長室に用があり、ひでながが来る前に部屋を見渡したところ、窓際に歯ブラシが並んでいます。
みつなりが不思議そうにしているとひでなが登場!
みつなりが「これはいったい何ですか?」と問うとひでながは「歯ブラシに太陽を当てて乾燥させている」と答えます。
さらにみつなりが尋ねると、ひでながは「この沢山の歯ブラシをローテーションすれば1か月どころか半年は持つ、健康に関することにはお金をケチってはいかん!」
「そうなんですか?」みつなりはあきれた気持ちを隠しながら尋ねます。
それでもひでながは「そういうものだ!」と少し誇らしげに断言しました。
みつなりは用事が終わるとそそくさと部屋を出ていきました。
翌日、みつなりはまたもや袋を持ったひでながに遭遇します。
中には使い捨ての髭剃りが沢山ありました。
でも、今回は歯ブラシと違い、ダメになった髭剃りは捨てるしかないので倹約のしようがないと考えていました。
それでもひでながの答えを聞きたく思い尋ねます。
「どうしてそんなに沢山使い捨ての髭剃りを買っているのですか?」
ひでながはその問いに対して「節約できるからに決まってるだろう」とありきたりな返事が返ってきました。
ひでながの説明によると、まず古い髭剃りを使い、その後新しい髭剃りを使うそうです。
こう使うと、使い切りのカミソリセットで1000円位の物でも1年持つとのこと!
みつなりは怪訝そうな顔をして「それでは会議とか大事なお客様に会う時に失礼になりませんか?」
それに対してひでながの答えは「おっさんの顔をまじまじ見つめるものなどそう多くはおるまい、皆自意識過剰なのだ!それに、もしどうしてもという客の時はさすがにわしも新しい髭剃りを使って差別化しておる!!!」
と返事が返ってきました。
どうもひでながは風呂に入りながら髭をそり、そったあとは布切れで綺麗に拭いて錆が出るまで使い切るらしいです。
みつなりも金銭には厳しいタイプですが、ひでながにはかなわないなと一息ついて仕事に向かいました。
※この話はフィクションであると同時に、生活習慣について何か特異な方法を推奨するものではありません。
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