第110話 よしひろと相談役たち!

よしひろは今しまづの名目上はトップにいます。

しかし、彼の視点で見ると、よしひさ、としひさの両名とその配下のしまづ社員は反みつなり派となっており大変困っていました。


そこでよしひろもまた、よしひさと同じように相談役に相談することにしました。

また、いつもの相談室によしひろが行くと、今度は前と違い、ただよしとたかひさの2名が室内にいました。


よしひろは祖父であるただよし様に自分の気持ちを言葉にしていきます。

「このまま、いままでのしまづのままではしまづに未来はない!みつなりはしまづのみながいうような信用できない人物ではないし、彼のやり方をどんどんしまづに取り入れるべきだ!!」


「でもそれを言うと兄者ととしひさが強く反対する!もちろん部下の中にもこの二人に従う者が多いし、どうすればいいのでしょうか?」


この言葉に対して、ただよし様はこう答えました。

「よしひろよ!以前も話した通り、お前は次男なのだから何があったとしても長男のよしひさを守れ!もちろん兄に逆らっては相手の思うつぼだ!」


「だが同時にこれも以前教えた通りだ!しまづは外聞を重要視するべきで、みつなりがお前の言うように信頼に値するなら、その良い点をどんどん取り入れてしまづをさらに成長させよ!!」


「この点ではおまえと他の兄弟たちは考えが違うかもしれないが、兄をなだめつつ、お前の良いと思う道を進め!よいな!!」

「よしひろよ、お前の持つ部下を思う心があれば、しまづの社員も結局はついてくるだろう!難題ではあるが兄に従いつつ、己の道を歩むのだ!!!」


ただよし様の言葉の後、室内は静かになりました。

横で立っているたかひさも目をよしひろに合わせた後、目をつぶり静けさを演出します。


よしひろもまた、その言葉の意味を悟り、部屋に入ってきた時の動揺をおさめて、静かに頭を下げた後に部屋を退出しました。

その顔は、初めその言葉の難しさを認識しつつ、それを自分が出来ると励ましてくれた祖父たちの信頼にこたえることを心に定めていました。


よしひろが退出したのち、部屋の陰からとしひさが姿を現しこう祖父に尋ねます。

「よしひさアニキと私、そしてよしひろアニキ、それぞれみつなりに対する接し方が違うようですが、これで良かったのでしょうか?」


その質問にただよし様は余裕のある笑顔を浮かべながら「道は違えど目標と志は同じなのだ!うまくやればみつなりの背後にいる存在 (主にひでながのこと)の思惑を見事外すことも出来るはずだ!!」

こうして、しまづの社内はみつなり派と反みつなり派で分かれることになりました。


※島津メモ この時期つまりひでよしと戦をした後、主に石田三成の指導の元、島津家の改革が行われます。


主に年貢の取りたてを厳しくしたり軍役を課したりなどですが、当時の資料などを見ると三成は義弘と相談して改革のタイミングや労役の付与などに関して彼なりに手加減したり、島津側に配慮しています。


義弘もまた中央の威光と三成の優れた内政能力や処理能力を高く評価していて、遅れている島津を少しでも良くするために三成を信頼していた様子です。






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