第61話 ひでよしの野望

ノブナガが倒れたという報告をひでよしが最初に受けた時、恐れの気持ちが沸き上がりました。

「あのノブナガ様が倒れるなどということがあるのか?」


そして、えも知れぬ不安感がひでよしを覆いました。

もともとひでよしは陽気な人物です。

しかし、この時ばかりは太陽が陰るが如く静かに大人しくなりました。


それを見て「これから忙しくなりますぞ!」と事務的な声でひでよしを叱咤した者がいます。

副社長、いや、この場合は無二の弟であるひでながの声でした。


彼は事務的な声で続けます。

「まずもうりに知られたら一大事です、その前にもうりと和睦しましょう、そして都を目指すのです!!」


こうしてひでよしの前に今行うべきことを極めて簡単な表現で簡潔に示しました。

これを聞いたひでよしは心配などといった感情的な事は余計な事と割り切りすぐさま動き出しました。


そして、ひでよしやひでながを恐れているもうりに一切の情報を悟らせずに和睦を済ますと、都近辺のオダカンパニー傘下の企業に得意の調略、もっと言えば金と恐喝で瞬く間に味方を増やしていきました。


なにぶん混乱の最中だったので、強く、明確なメッセージを持つひでよしが頼もしく、もともと軍団長としても人気が高かったために抵抗はほとんどありませんでした。


こうして、オダカンパニーの一軍団長だったひでよしはそのオダカンパニーの約半分以上の勢力を手に入れて日ノ本一のお菓子会社の長となりました。


しかし、このころになると前にも述べた通りノブナガも少し体調が回復し、跡取りを社長に据えてみつひでの補佐も決め、また他の軍団長もオダカンパニーに従う姿勢を見せたことから、ひでよしの東への侵攻はストップしました。


そして、ひでよしたちサンサン商事の目には西の九州が魅力的に見えていたのでした。

さて、今度はもうり連合の動きを見てみましょう。

実はこれが大きな転換点になるのです。

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