第57話 太陽と月
ここはサンサン商事社長室、社長であり、オダカンパニーの軍団長でもあるひでよしが高いビルの最上階にあるこの部屋でくつろいでいました。
「えぎゃーと時間がかかったにゃー」陽気なひでよしは鷹揚とした言葉を使います。
なお、面倒なので今後は標準語で話を進めます。 (笑)
今回は思いのほかきっかわが頑張ったようで・・・
副社長のひでながが応対します。
鳥取のもうりの拠点が落ちた原因は「兵糧攻め」でした。
まず、もうりの菓子製造に必要な砂糖や小麦粉などの価格を安くして、もうりの工場で沢山の在庫が持てるように仕向けます。
この時、もうりの倉庫を満杯にすることで、他の物資を入れるスペースを無くすとともに、鳥取のもうりの財政を悪化させておきます。
その後、電力や工場で使われる油などの消費財を買い占め、工場が止まるように段取りをします。
後は流通を混乱させつつ、工場に必要な物資の買い占めを途切れることなく続けることで工場を止めるようにします。
そして、工場が根を上げるタイミングを見計らって、不足している物資の提供と莫大な買収資金と引き換えに拠点の権益をサンサン商事が握るという手順でした。
もちろん、様々な法律に抵触する可能性がある方法でしたが、そこはひでながが莫大な資金と超複雑なルートを構築してすり抜けられるように手配しました。
しかもあらかじめ買収可能な拠点をピックアップするという用意の良さで、もうりとしては手を出すことが出来ませんでした。
この時のひでよしとひでながの役割はまるで「太陽」と「月」のようでした。
「月」であるひでながが夜の間に物資の欠乏をいざない相手が動けないように工作する、しかもそれは月のように静かにバレないように。
そして、時が満ちた時「太陽」であるひでよしが暖かい手を差し伸べてその地にあるものに光を与え生き返らせる。その役割の見事な振り分けと組み合わせこそが、サンサン商事の真の強さである!
ちなみにもうり連合のたかかげがそのことに気づいたのはずっと後の事でした。
※鳥取城の兵糧攻め 史実でも徹底的な兵糧攻めが行われました。
相手にわざと商売上儲かるような取引をさせたり、毛利水軍が兵糧を入れられないように周りをしっかり囲んだりと大々的、かつスキのない攻め口だったようです。
秀吉の優れた点として城攻めの際に兵を無駄に死なせない兵糧攻めや水攻めがあります。
しかし、それを行うには周りを囲む沢山の兵はもちろん、様々な道具や兵糧などさぞかし多くのお金が必要だったでしょう。
秀吉の弟の秀長がケチであるという逸話はこうした戦術の裏返しだったのかもしれず、秀吉の光を際立たせる影、月のような役割を果たしたのかもしれませんね。
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