このカードゲームにはいろいろなルールがあります。

その中で、HＰに関しても細かい規定がありました。

例えば、敵の大将を討ち取った場合、ゲーム中はそのＨＰが消えますが、そのHＰが減った分は勝敗後の分配には影響しないというルールがあります。

つまり、負けても少なくできるということです。

なので、このカードゲームでは勝敗が大きく傾く前に「撤退」という選択肢が多く取られます。

そうすることで、負けても会社に対する被害を最小限に抑えることができ、そして多くの場合ボロ負けしないために小さな会社でもこのカードゲームに参加できるというメリットがあります。

しかし、このしまづ対おおともの戦いはそうしたセオリーを無視した戦いとなりました。

まず、初戦でしまづがHPを多く刈り取りおおともの莫大なHPをしまづの戦利品とする権利を獲得しました。

HPとは会社のあらゆる権利の代用品みたいなものなのでこれはとても大きなことでした。

しかも、そのあとおおとも勢が優勢になったと判断することで、この後のしまづの突撃に対して大きなダメージを受けました。

そして、補佐となる部長が二人いなくなったことでおおともの総大将よしむねがパニックを起こし、それが全軍に波及することで大混乱となりさらにHPをしまづに奪われてしまいました。

ここで、早めにサレンダーしておけばよかったのですが、よしむねは若く正気に戻るまでに莫大な時間を費やし、その結果しまづの圧勝でこのゲームは終了しました。

せめてもの救いは最後の最後でよしむねが正気を取り戻したため、総大将が打ち取られる事態だけは避けることができました。

このカードゲームの勝敗の結果、しまづは４か月の間、自社の３分の一に当たる数の店舗の営業権をおおともから譲渡されることになりました。

それはおおともから見ても全体の２０％の店舗の営業権を一時貸与するという大ダメージでした。

それを知ったおおともの会長、そうりんは息子のよしむねに対して激怒し、しまづに復讐することを誓ったのでした。

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