第28話  しまづの休日 よしひさ編

しまづ株式会社の社長 長男のよしひさにも休日はあります。

彼は歌が好きで、しかも歌うのと作曲の両方が好きです。

基本内向きな性格ですが、歌だけは別のようで人が変わったかのように賑やかで社交的になります。


以前のお話で登場したこのえさきひさとこのえのぶただの親子とも仲が良く、とりわけ歌とかお茶が大好きです。

他にもほそかわふじたかという知り合いがいて、彼からは門外不出の歌をこっそり教わったりしています。


歌の内容はプロ中のプロであるこのえ家やほそかわ家からみても悪くない出来らしく、また彼の歌声はとても心地よいとのもっぱらの評判です。

よしひさはお酒が苦手なので、しまづの県ではどうしても浮いてしまうのですが、弟たちには歌を学ぶように度々アドバイスしています。


これは、爺ちゃんであるただよしが、脳筋だけではなくて、学問や習い事もしっかりやりなさいという教育方針だったのでその言葉を借りて弟たちに命令することもしばしばでした。


次男のよしひろは正直乗り気ではありませんでしたが、お爺ちゃんの教えの影響から長男の言葉はよく聞くようにというアドバイスと、体だけでなく心や頭も鍛えなさいという勧めがあり、真面目に取り組みかなりのレベルまで歌が上手になりました。


三男のとしひさも器用にこなしていましたが、四男のいえひさだけはどうしても歌と茶が苦手で、機会があると分かるとそそくさと逃げ出してしまいました。

あと、よしひさはネコが好きで家で沢山のネコを飼っていました。


ネコという生き物は騒がしい人間が苦手なのでよしひさのような物静かなタイプはネコにとってはなつきやすい存在でした。

よしひさには息子はいませんでしたが、娘が三人いました。


休日は家でゆっくり娘たちやネコたちと穏かな時間を過ごすのが彼の休息なのかもしれませんね。


※島津義久はお酒が苦手で健康でもなかったため、宴会などは苦手だったのかもしれません。

島津家の当主として、断れないやり取りもあったでしょうが、年を取ると体調不良を原因に外出を断ることが多くありました。


また、ネコについては近衛前久から依頼があり、プレゼントを所望されるやり取りが残っているそうです。

近衛前久 (このえさきひさ) 近衛信尹 (このえのぶただ)親子と親交があり、両者とも薩摩に滞在したこともあり、教養を学ぶ機会も多かったようです。


なお、この親子は両方とも公家の最高峰である関白になり、しかも中央から薩摩に流されるという共通点を持っています・


細川幽斎から古今伝授を受けたりという話もあるので、歌に関しては相当なレベルだったのかも。


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