祭りのあと。

真っ暗闇の中




体を揺すられて 眠りから 目が覚めるマリーン  




真っ暗闇の 中から どうして目覚めることが


できるのか 分からないほどの 眠り




 部屋に光が差し込み 光が体に暖かい




眠っていたマリーンの 左手を クロスは


自分の手を 重ねたり


自分の おでこにマリーンの手を持って行ったり 


マリーンの 手で 遊び放題のクロス




カイトが 右からマリーンの体を ゆすっていたみたいだ




マリーンが目覚めると 嬉しそうに クスクスと笑った


「やっと起きたよ」




太陽の高さから もうとっくに 昼は過ぎかもしれない




夏祭りの後 いつ帰ったのか 何も覚えていない


ぐっすり眠ったのか 疲れも吹き飛んでいたマリーン




起きて 顔を洗っていても クロスがマリーンに、近づいてくる




「ビリじゃない ご褒美」と両手を差し出す




「うふふふふ 何だと思う


昨日 いっぱい稼いじゃったから 大判振舞いよ じゃーん」




昨日の 出店で見つけておいた 濃い藍色と 明るい空の色のブルーの


二つの綺麗な 紐を出した




青い色の紐を クロスの 左腕につけて縛った


「ほらビリじゃない印」




「わぁーっ マリーンの紐だ」




高々とその左手を 上げてから 




「ねっ」 と右、ほっぺをマリーンに出してきた


「何よ?」


「ほら お母さんが いつもお父さんの ほっぺにしてる ご褒美」と


口びるを 尖らして クロスの ほっぺに キスをしろと せがんだ




しょうがないか 小さいクロスが 頑張ったのだ


「おませね」とクリスの頬に チュッとした マリーン




隣でカイトが左手を出していた


マリンが もう一つの藍色の紐を 結んだ




結び終えたのを見てから


その左手で 自分の頬を触り


「僕は 右左 どっちがいいかな?」とカイトまで言うので




1番だもの カイトは、当然と思った


マリーンは 左の頬に チュッと カイトの頬に触れて


それから


カイトの 前を 周り


右の方の ほほにも チュッと口を 尖らせた時




カイトが 右に どうしてマリーンが行くのか


分からなくって 


目の前のマリーンを追って 右の方を 向いた時 


マリーンの唇が カイトの唇と 重なった。




ほんの一瞬で 


でも 二人にはスローモーションのように 鮮明に ゆっくり時が動いた




驚いたマリーンは


その勢いで,そのままカイトの体の上に 転がり 重なった。




カイトは 危ないと マリーンの、体に手を回した




飛び込んできたマリーンの体は 背中に羽があるように とても軽くて


柔らかい羽毛の鳥の体のようだ 飛び出さないように 


しっかり抱いた




2人の 体に閃光が 走り 一瞬 離れなくなり 動きが止まった




「あっ、ずるーい カイト兄さん


じゃあ 僕も」と




クロスは マリーンの上に 飛び乗った




一番下に カイト 真ん中にマリーンを、挟んで 


そして上にクロスが重なった




キャーッとマリーンが カイトの上で叫び


「おい おーい 2人じゃ 重いよ」


カイトは マリーンのまだ、触れている ほほの柔らかさを 意識しながら言った




下の カイトが 体を揺すって 2人を振り払おうとしても


クロスの手がしっかりと、カイトの体まで 届いて離れない




マリーンを挟んで




3人の体が 重なったまま 


ゴロゴロ と、部屋に転がる




きゃー きゃー と クロス離してよーっと 


真ん中のマリーンの、声が 部屋に響く




楽しくて、はしゃいでる 3人は 気が付かない






ドアが開いた。






「兄弟で こんなことを いつも しているのか」




深く 非難しているような 冷めた声が 聞こえた。




3人が 気がついて


団子のように重なったまま 入ってきた 人の顔を 見た






シバが立っていた。




クロスが離れ


カイトは マリーンを 優しく 手伝って 離れさせた。




「いつもじゃ ないけれど


シバは入れないよ」 とクロスが得意気に言った




「シバ何か用事かい」カイトが 気まずそうに言う




「お父さんが 馬を借りて 乗ってこいって」




「どうして」




「うん ほら 秋の 球技大会、


あれ、馬に乗って やるらしいんだ 


だからカイトと その練習しろって」




「僕は、見学で 競技に 出れるわけじゃないよ」






「でも 何があるか 念のために、、


練習して おいたほうが 良いだろうからって」


「馬に慣れて


馬に乗って 魚釣りや 毎日 馬の上で 生活できるぐらい


馬に 慣れって 馬の上でも 寝れる ぐらいにだって」




「 馬の上で寝たら 落っこちちゃうよ」クロスが叫んだ




「慣れると 馬は、人が落っこちないように 走ってくれるだって」




「へえーっ!」と3人は 半信半疑で感心する


 「物知りの タグさんが言うんだものなぁ 本当かな」とカイト






「賢い馬とだったら 気持ちが通じるのかしら?」マリーンも納得しだした






「秋の競技は ともかく 馬には 時間があれば 


僕にも 慣れるように ってお父さんが言うんだ」




「でも 今日は 祭りのあと なのに


お父さんとお母さんが 馬に乗って 朝早くから どこか用事があるって行っちゃったんだ」




「大鷲を また、取りに行ったのかな?


私フクロウでも 良いな


肩に乗せて 飼い慣らしたい!]




昨日の 大屋敷の フクロウを肩に乗せた人が 頭に浮かんだ




 「マリーンは すぐ 影響されるんだな」 


コツンと カイトがマリーンの 頭をコツいた




マリーンの ほっぺが 可愛く ぷーっと膨らんだ




「馬のシューもカイも いないから 牛のチーズに 乗れば?」と、からかいながら


「あー チーズの お乳を絞らなくっちゃ シバ 手伝って」とを手を引っ張るマリーン




「僕が、、」




「だってカイト兄さんはお魚焼くし


クロスは芋 掘ってくれる」




「マーリン は、お腹が すいたんだ」カイトが気がついた




「マリーンは 今さっきまで寝てて 起きたばかりなんだよ」クロスがバラす




「いっぱい寝たから いっぱい食べるわ いっぱいよー」


よく寝て よく食べるマリーン




牛小屋に行く


マリーンのチーズの乳搾りを手 伝ってくれるシバ




「そうだ、ねぇシバ」




「昨日トップで入ったのに どうして 4位になっちゃったの


4番目の人は だいぶ後だった じゃない?


3位だったら 秋に また あの屋敷に行けたのに」




シバが 気づいたように 痛そうに 肩に手をやった


「どうしたの 怪我でもしたの」






カイトが二人のそ ばに来ていて 


「昨日 屋敷の中で 球が飛んできたんだ


それも あの白いひげの 隊長みたいな人が 


投げた球が 速くて避けれなかった」






「大丈夫?」


カイトが 座ってるシバの服を覗き込み 背中を見た


赤く腫れて 痛そうだが ちゃんと 丁寧に、薬が塗ってあった




3日4日で 大丈夫だって


「僕の方に飛んできた玉なのに シバが避けてくれたんだ」




「手は?、、」




「玉の速さに 合わせて 手を出したから 平気だよ」




「そんなところ、、


器用だよね


 乳の絞り方だって とても うまいんだよ


こんなに絞ってくれて」




「いっぱい 飲みそうだから、、、」マリーンが飲むだろうから? 、、




言ってから 後悔したのか 照れくさそうに シバが言った。




遠くに馬の足音が 聞こえた




父と母が帰ってきた。






シューに父が カイに母が


二人の 馬の乗り方に、惚れ惚れする子どもたち


この2人なら タグさんの言うように 馬の上でも 生活できそうだ




馬と一体になっている 父と母


そして もう1頭 小さな子馬がいた




リュウが言った


「大鷲が 昨日思っている以上に 良い値段で売れたから


村で 1番になった


大活躍のカイトに  2人からの 褒美として 


馬を 買ってきたんだ」


カイトの顔が、ほころんだ




クロスも 馬に駆け寄ってきた




「わぁー かわいい!


女の子だと 名前は ハナがいい!!」




すぐに動物に名前を、つげたがる




マリーンが 嬉しそうに 大声で言った。






そんな微笑ましい 明るい家族の様子を




シバは 静かに


大人びた 冷めた目で 見ていた。

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