第27話 採掘現場の区画化



 グリーン・ドラゴンを7、8体倒すと、このフロアでの脅威感はもうなくなった。


 すでに攻撃を喰らっても大丈夫だし、敵を一、二発でほふるだけの攻撃力もある。


 そこで俺は、この洞窟の底の掘削を大々的に始めることにしたのだった。


「よし、片っ端からいくか……」


 これまでは狙った鉱石だけを採掘するくらいの余裕しかなかったが、今は作業中にモンスターに襲われても問題ない。


 そもそも、黄金のつるはしのガイド機能によって『ここには多くの鉱物が埋まっている』ってわかって来ているんだからな。


 腕が鳴るってもんだぜ。


 で、大々的な採掘についてだが、これには少しアイディアがあった。


 それは、『採掘現場の区画化』である。


 そう。


 このダンジョン最底の空間は、広いフロアとは言え洞窟内だ。


 岩肌で凸凹しており、ガイド機能が届かなかったり、採掘しづらかったりする。


 そこで、まずはこのフロアで岩だろうが何だろうが片っ端から回収して、『大きな立方体の空間』へとそぎ落としていこうというワケ。


 ポコッ、ポコッ、ポコッ……


 こうして岩をそぎ落としていく中でもちろん鉱石も採掘される。


 石炭や鉄鉱石はもちろん、金、銀、ルビーやサファイアのような宝石類も出てきた。



―――――――――

〇岩 678954


〇石炭 2934


〇鉄鉱石 31425


〇金 231


〇銀 675


〇ルビー 53


〇サファイア 34


〇思考石 134


〇魔石 431

―――――――――



 まあ、領外への鉱物の流出は微妙な行動のように思えるので宝石類を商人などに売ってカネを得ることに頼るつもりはないんだけどな。


 でも、『お近づきのしるし』とか『外交的なプレゼント』とか、そういうことに役に立つかもしれないから、一応確保しておく。


「おっ! まだあったのか」


 それから採掘し残していたパワーストーンも発見する。


〇パワーストーン 22


 量は少しだが、22個でも攻撃力は220上がるからバカにならない。


 それに、やはり先の片手間の採掘では、採掘のし漏らしがあるってことだしな。


「じゃあミスリルも採掘のし漏らしがあるんじゃないか?」


 そう期待されたが、残念ながらこれは見つからなかった。


 やがて、フロアの区画……つまり、入り組んだ岩の空間をひとつの『大きな立方体の空間』へと区画し終わる。



 がらーん……



 うーん、こうして見ると、だいたい50歩×50歩くらいの広さのフロアだったんだな。


 同時にモンスターもすべて倒してしまったので、何やら寂しい空間となってしまった。


 もちろんモンスターはまた発生するだろうけど、その発生のスピードよりも俺がモンスターを倒すテンポの方が速く、まるで地下の魔物が絶滅してしまったかのような殺風景となっている。


 ちなみに現在のレベルは以下の通り。


――――――――――――――――――――――――――――――――

シェイド・コルクハット(24)♂


レベル:101


HP:768

MP:13002

攻撃力:2540

守備力:1567


EX:9221768

――――――――――――――――――――――――――――――――


 ここまで来ると、すでにゴーレムやグリーン・ドラゴンを倒してもレベルは上がらなくなっていた。


 レベル90を超えたあたりで1レベルあたりに必要な経験値も激増したらしく、たまにしかレベルUPしなくなってしまったのだ。


「まあ、さしあたってレベルはもう気にしなくていいかな」


 俺はそうつぶやいて、『採掘現場の区画化』をさらに続けることにする。


 これだけ地下フロアを丸坊主にしたのに、まだ何をするのか?……


 そう思われるかもしれないが、これはまだまだ序章である。


 そもそも、このフロアでこれだけの鉱物が発見されたということは、あたりの岩中にはまだまだ埋まっている可能性が高い。


 まあ、通常であれば、たとえそう予想されてもダンジョン最奥のさらにその奥を掘り進めることなどできないだろう。


 できたとしても、掘った岩の運び出しが困難な関係上、ほんの少し先を調べることくらいしかできないんじゃないかな。


 しかし……


「俺の土魔法があればこれからさらに採掘することができるはずだ」


 俺はそうつぶやいて、掘削計画のとおり黄金のつるはしを振るっていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る