第15話 岩山
さて、第一の拠点で客の対応など済ませると、俺は採掘に出かけることにした。
しつこいようだが俺にはカネがない。
財産は土地だけ。
その土地も、資源を採掘→建設→生産していかなければ価値がでてこない。
そして、生産力をつけて領地を強くしていくのが、俺の目的であり『賭けた夢』なのである。
「気を付けてね。特に湖より東へは行かない方がいいわ」
と出がけにセーラが言う。
「どういうこと?」
「この地方はどうやら奥へ……東へ進めば進むほどモンスターが強くなるみたいなの。湖より東の魔物は私でも苦戦するかもしれないわね」
「マジ? お前でも?」
セーラのレベルは78だ。
レベル70超えともなると冒険者でも相当上の方のはず。
そんな彼女でも苦戦するとなると、まだ俺一人で東へ行くのはやめておいたほうがよさそうだ。
ちなみに、俺のレベルは『経験値自動回収タワー』のおかげもあり、レベル13からレベル17にあがっている。
―――――――――――――――
シェイド・コルクハット(24)♂
レベル:13
HP:96
MP:12570
攻撃力:110
守備力:97
EX:22050
―――――――――――――――
↓
―――――――――――――――
シェイド・コルクハット(24)♂
レベル:17
HP:160
MP:12660
攻撃力:190
守備力:189
EX:60505
―――――――――――――――
これまでの敵であれば以前よりも楽勝で倒せそうだ。
となると、これまでのポイントから北か南かへ探索することになる。
【位置関係】
《ロード地方》 《バイローム地方》
|
|
|拠点1 拠点2 湖
|
|
このように、西へ行ったら領地を出てしまう。
湖より東はヤバイっていうのだから、まだ行っていない北か南だろう。
というわけで、俺はまず北へ行ってみることにした。
◇
北へ進んでも、しばらくは魔物も強くはならなかった。
アンデッドやオーク、一角ラビットなどに襲われるが、
これなら採掘に気を取られていても全く問題ないだろう。
ポコッ、ポコッ、ポコッ……
俺は岩の光る場所を見つけると黄金のつるはしで鉱物を回収していく。
○銅 3
○鉄鉱石 11
○砂金 2
○魔石 4
こんな感じで今までと変わらずまちまちの鉱物が少量ずつ出てくる。
でも、これでは大した収穫でもないので拠点へは引き返さず、夜になると仮小屋を建てて明かした。
次の日も北へ行き、また次の日も北へ行き……三日目のことだ。
周りとは雰囲気の違う、ゴツゴツした岩場を発見する。
と言うのも、荒野のおおよそは土が多く、その一部が岩という割合であるのに対して、ここら一帯は岩ばかりで構成されているのだ。
小高い岩山と言ってもいい。
「おっ、採れる採れる」
岩が多いということは必然鉱物の埋まっている箇所も多い。
魔石や鉄鉱石が塊で採れたりして、採掘が楽しくなってくる。
岩場へ足をかけて登り、光る箇所を黄金のつるはしで掘削。
岩と岩の合間を縫ってさらに奥へ進んでいった。
グルルルル……
当然のように魔物も出現する。
「うわッ!」
岩場の魔物は少し強くなっており、一撃では倒せなくなっていた。
「ぐっ、ヤベえ……!」
オークメイジの攻撃を喰らうとHPも20はもってかれる。
「んなろー!」
しかし倒せないほどではない。
銅の剣をひと振り、ふた振り、さん振りすると、オークメイジのその巨体は倒れた。
グオオオオ……
死霊系モンスターは倒れると光の玉となり消えていくが、オークメイジは魔獣系なので消えない。
モンスターの遺骸は素材となることが多いが、それは黄金のつるはしで回収させてもらう。
ポコッ、ポコッ、ポコッ……
黄金のつるはしはモンスターは回収できないが、モンスターの遺骸は回収できる。
これは俺も領地に来てモンスターと戦うようになって知ったことだけどな。
○オークメイジの肉
○オークメイジの骨
ちなみに、オーク肉は豚のような食感で、けっこうウマいよ。
後で焼いて食おう。
で、その後も俺は岩場を進んだ。
凸凹とした岩山を縫って行き、やがて『石炭』が
石炭は鉄鉱石から鉄を精錬するのに必要な素材だ。
鉄鉱石はこれまでそれなりに回収しているし、鉄が使えるようになれば拠点の開発でやれることも増えるぞ。
ガオオオ……!
しかし、時おり魔物が襲ってくるので採掘に集中できない。
今度はロンリー・ウルフの牙に襲われHPも30奪われた。
「くそ。引き返さねえとヤベえかも」
そう思って肩で息をしていると、ふと、気になるものが目にはいる。
岩と岩の合間にぽっかりと空いた大穴。
「ど、洞窟か……」
鉱物は自然の洞窟でより多く発見されると聞いたことがある。
それも、いかにも採掘しがいのありそうな洞窟なんだよな。
俺は悩んだあげく「もう少しだけ」と思って、その洞窟へ足を踏み入れた。
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