「ちょっ!オタクって無理!」 カースト上位の神楽坂唯にそう言われたのでリア充になって「しゅき……大好き!」って言わせてから速攻フリます!

水ManJu

復讐

「あのっ……僕ユイちゃんのこと好きなんだ!」俺は告白した。小学生のころ俺と神楽坂唯は同じクラスだった。夕焼けの赤い光が俺たちを照らしていた。神楽坂は美人だった。小学生のころからずっと。

「ごめんなさい。私は好きじゃないの……だって朱雀くんって陰キャメガネくんだよね。しかもオタクだし……正直迷惑だよ」神楽坂はそう言い放った。


俺はがく然とする。えっ? なんだこいつ本当に小学生か?

「ごめん! あっ! でもっ! 本当に迷惑かけるつもりはなくてっ! ごめんなさい! 神楽坂さん!」俺はなんだか神楽坂をさん付けで呼んでいた。


「こっちこそごめんなさい。変な希望与えちゃったね。私と付き合えるって。だからちゃんと君には絶望させてあげる。もう二度と私に喋りかけないで! これでいいでしょ?」神楽坂は言う。

「はいっ! 言うとおりにします!」俺は答えた。教室を抜け出し友達と合流する神楽坂。俺は一人の教室で泣いた。メガネに涙が落ちる。ポロポロポロと蛇口をひねったように涙が出た。だが、そんな俺を慰めてくれたのは教室を照らす夕焼けだけだった。


6年後……


「よしっ! どっからどう見てもイケメンだな」俺は制服に着替えて姿見の前で髪型と眉のチェックをする。どっからどう見てもイケメンだ。我ながら惚れ惚れする。俺の名前は朱雀樹……スザクイツキだ。どこにでもいる普通のイケメンだ。ついでにいうならスクールカースト上位の強者リア充だ。ただ、ご存知のとおり昔はそうでもなかったが……俺は高校2年生になっていた。


「イツキーーー! ご飯だよーー」一階から母親の声が聞こえる。

「分かった! 今いくよ!」俺は一階にいる母親に向かって怒鳴った。何回ご飯だって言えば気が済むんだ。朝っぱらからイライラするな。本当。


「おにぃ。なにやってんの……」妹が勝手にドアを開けて自分のイケメンさ加減をチェックしている俺は呆れるように見た。

「ヒナか勝手に入んなよ。なんか用か?」俺は鏡を見ながら言う。


「だっておにぃおかしいよ。リア充の真似事なんてやめてよ! 昔みたいな暗い陰キャメガネくんに戻ってよ!」ヒナがぬいぐるみを持ちながら言う。う……なんだそりゃ。


「ヒナ……人は変わるんだ。サナギから蝶になるみたいに。その逆はない。蝶からサナギにはならないんだよ。分かるな。ヒナ」俺はヒナの方を見て言う。


「うぅ……言葉遣いもイケメンになって……」ヒナは動揺したように言う。


「ところでヒナ。今期のアニメでオススメは?」俺は聞いた。パァッっと表情が明るくなるヒナ。

「今期はベイスターズがオススメだよ。バットとボールが擬人化して恋をする話。4話マジで神だから見て!」興奮気味にヒナは言う。


「ベイスターズね……お前そういうマニアックなアニメはやめろよ。じゃなくもっと皆が見るようなアニメを見ろよ」俺は言う。

「え? なに? どうしたのおにぃ」ヒナは怒ったように言う。


「アニメってのはコミュニケーションツールなんだよ。今流行ってるアニメを見て周りの人とコミュニケーションを取るためにあるんだよ。誰も知らないアニメを見ても誰とも面白さを共有出来ないだろ? それつまんないじゃん」俺は髪型をセットしながら言う。


「はぁ? おにぃから聞いてきたんじゃん! 好きな今期アニメはって! それで答えたのに! 自分から話振っといて説教おじさんじゃん! マジでキモい!」と言いながらヒナはセットした俺の髪の毛を手でクシャクシャにした。そしてプイッっと自分の部屋に行く。

「なんなんだよあいつ……」まるで台風だ。俺は呟く。俺はボサボサになった髪のまま一階に降りた。


「あれ! あんた寝癖酷いよ!」母親がそう言う。

「ヒナにやられたんだよ。あいつまるで小型台風だよ。気にしないで」俺は言う。

「あぁそう……」母親は言う。


「ヒナ、今日も学校にいかないつもりかしら」母親が心配したように言う。

「ヒナにはヒナのタイミングがあるんだよ。あんまり言っても意固地になるだけだよ」俺はトーストを齧りながら言う。


「でも……あの子いつまで……」母親が言う。

「あーーもう朝っぱらから暗いのやめようよ! もう学校行くね!」俺はそう言って朝食を手早く終える。


「うん……」母親がなんだか暗い顔をしている。

「朝ごはん美味しかったよ。お母さん!」俺がそう言うと母親は「うん!」と明るい表情になった。


俺は鏡の前に立つと

「うおおおおおおお!!!!」と言いながら髪型を高速で整えた。


「じゃあ行ってくる!」俺はそう言うと自転車に乗り込む。俺は自転車と電車通学だった。小学生のトラウマのあと俺は必死に勉強した。人からバカにされるような人間になりたくなかった。勉強して勉強して俺はようやく地元の名門である神楽坂高校に入学した。


ここは卒業生のほとんどが国立大学や一流大学に入学する超エリート校だった。俺は最寄り駅まで着き駅の改札まで向かう。改札にICカードをピッっとする。? なんか別の改札を抜けた人が急に消えたんだが……一体なんなんだ。目の錯覚か? 俺は思った。


電車に乗り込む。同じ車両の別の学校の女の子たちのヒソヒソ声が聞こえるわ


「ねぇ。あの人神楽坂高校の……」

「やだ! メチャクチャカッコいい!」女の子たちが俺をチラチラ見ながらヒソヒソ話をしている。


「ねぇ手を振ったら応えてくれるかな」女の子の一人がそう言う。

「やだ! 駄目だよ! 失礼だよ!」

「いいから!」と言うと女の子は俺に見えるように小さく手を振る。俺は……


俺もそれに反応して小さく手を振り返した。

「キャーーーー!! 反応してくれた!」

「すごい! すごい!」女の子たちはヒソヒソ話しながら興奮している。これくらいはサービスだ。そうだこれぐらい余裕だ。じゃないとあの神楽坂唯には復讐出来ない!


始まりました!

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