違和感
私はカルビーを好きすぎてた。だから高校三年生のとき後期生徒会長に推薦されて選ばれた。
わたしはカルビーが好きすぎてた。だからテストは一位だった。
けれどゆらいだ。卒業式に近い時期、部活をしてからの生徒活動で"疲れた、じゃがりこ食べたい"と思って用具を体育館裏に運んでいたとき、見てしまった。
タバコを吸いつつ、他社のお菓子を食べる生徒。ありえない行為であり校則違反。この場合は先生を呼んで処罰してめもらうことが正しいけどショックで足が動かない。カルビー学園はカルビーを愛しているものだけと思っていた。
大前提がそれだ。カルビーのお菓子しか美味しいお菓子ではないと思ってた。なのになのに…。目の前の生徒は他社のお菓子を美味しそうに食べている。何故か食べたくなる。頭では分かってるけど食べたくなってた。自分がいやになってた。
違和感を抱えてしまった。
そして壊れてしまって家に数日こもってしまった。
当たり前とは、カルビーとは
私とは、女性とは…。
自分のアイデンティティとは。たったお菓子と思うが私にとっては大きなことだった。日頃感じて無視してきた違和感が今私に降りかかっていた。拭いきれなかった。
卒業した。卒業を機にカルビーと女性を卒業した。女性を卒業するために処女も卒業した。相手は関係ない。しがらみも捨てた。
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