81話 これぞチートキャラ
翌朝。擬似姉妹丼なんてもうやらねぇと誓った。フェリスが底なしすぎて手のつけようがなかった。シエラに手伝ってもらってなんとかしたのだ。
気だるさを残しながら3人で起きて朝食を食べる。フェリスは朝食も美味しい美味しいと言ってガッついていた。いつも通りの食事だがシエラも美味しいと食べてくれたなぁと思い出した。
「朝からお腹いっぱい」
「そりゃよかった。泊まってた宿じゃあんまり良いの出なかったんだな」
「アキトの作る朝食に比べたら王都の宿じゃねぇ」
シエラはおそらくラウンズフィールの宿を思い出しているんだろう。さすがにあそこには勝てない。どうやっても勝てないと思う。師匠じゃないと無理だ。
「じゃあちょっと片付けるからソファーで待っててくれ。ここで暮らす上での役割とか決めたり、パーティの取り決めとかちょっと話すからなー」
「わかった」「わかったわ~」
アキトは食器を片付け、テーブルを挟んで向かい合ってソファーに座っている2人の間にある足の短い机の前の座布団に座る。まずは生活に関することだ。
洗濯は皆でやるとして炊事は俺で掃除がシエラと決まっていてあまりないのでシエラの手伝いになった。
パーティに関してはこれといってなかった。リーダーが俺で指揮しているなど伝えたくらいだ。あとは報酬は基本的に等分割と生活費を引くということを伝えたくらいだ。
「意外と決めること少ないな」
「あとは部屋決めて掃除するくらいよねぇ」
「そういえば個室が貰えるんだった。むふふ」
どこか満足気なフェリスだがどうやら個室が貰えることは忘れていたようだ。満足気なのは昨日の夜に満足したからなのか朝からお腹いっぱい食べたからなのか………
「買い物とかギルド行くにはまだ早いから………フェリスのことを聞いておこうか。明日から俺が地獄を見せて鍛えるわけだが闇雲にやるわけにもいかんしな」
「地獄なの?」
「………最初は地獄ね」
シエラは遠いところを見るようにして言った。
「そうなのか………ご飯とチ○チ○のために頑張るね」
「………本性表してきたな」
「もう2人に隠す気はない」
「お願いだから外ではチ○チ○言わないでね…」
すでに俺たち2人には知られているからか自分の性欲を隠す気はないと。無理に隠されるよりはストレスも少なくて良いだろう。それに心を開いていくれている証拠な気もする。
「とりあえず今わかってるのはアイテムボックスを持ってることくらいか。実は俺とシエラも持ってるんだけど、俺だけが持ってるっていうことにしてるからフェリスも外では目立つところでは使わないようにな」
「2人とも持ってるのか。わかった。持ってるんなら私のはあんまり使いそうにないかな」
「次は~そうだな。魔法適正は?」
「全部」
「はい?」
「だから全部。はいこれギルドで適正調べて貰った紙」
フェリスがわけのわからないことを言い出したが、適正を調べた時の紙を渡してきたので確認する。シエラも覗き込んできた。
「嘘でしょ………」
「こんな奴いんのかよ………これ…本当の紙だよな?」
「うん。私そんなに字綺麗じゃない」
俺とシエラは驚愕の表情をしていた。それほどまでにフェリスの魔法適正は異常だったのだ。こんな奴俺みたいに神様に選ばせてもらえない限りいないと思っていたが存在しているようだ。
魔法適正:火 上級
水 上級
風 上級
土 上級
雷 上級
光 上級
闇 上級
信じられないが7属性すべてを上級まで使える適正があるのだ。俗に
「………パーティに誘って正解だったな。こんなの知ったら取り合いになるぞ」
「ええ。貴族が出てきてもおかしくないわ」
「うん。ギルドでそんなようなこと言われた。調べ終わったら受付のお姉さんにギルドの奥に拉致されて説明された」
「ああ。わかった。あの
最近
「ハゲって?」
「冒険者ギルドのギルドマスターだ」
「そうだ聞いて! あの
フェリスはソファーで跳ねながら
「あの
「焦ることはないわよ。ゆっくりやっていきましょう。すぐに強くなれるわけじゃないんだし」
「そうだなー。ちなみに得意な魔法あるか?」
「一番得意なのはね、結界魔法」
「今なんて言った?」
俺が師匠に鍛えて貰っていた時から練習し続けても出来なかった魔法が得意だと聞こえたのだが気のせいだろうか。
「だから結界魔法が得意なの。フン!」
「お…おお」
「これが…結界なの?」
フェリスは自分の前に透明な赤い板を出した。師匠が使っていた結界とは色が違うが結界だとわかる。しかも無詠唱だった。
「マジかよ~………俺師匠と修行してからずっと練習してるのに未だに使えないのによ~」
「私凄い?」
「悔しいと思えるほどに凄いと思う」
するとフェリスは立ち上がり両手を上げて得意気な顔を見せてきた。『コロンビア』というテロップが付きそうだ。なんだろう…このドヤ顔が無性に腹がたつ。
「むふ~ん♪」
「フェリスを誘って正解だったわねぇ~」
「悔しいから俺も見せてやる! フン!」
俺は座布団に座った胡座のまま浮き上がる。するとフェリスが驚愕の表情をしている。どうだ飛行魔法を見た感想は? んん~?
するとフェリスは俺に飛びかかってきた。
「それ教えて!」
「魔力で飛ぶだ!」
「できない!」
「私も教えてもらったけどできなかったのよねぇ」
飛行魔法と結界魔法で2人で張り合っていたが2人揃ってシエラに叱られて終わった。結局飛行魔法も結界魔法も秘密ということになり落ち着いた。さらにお互い練習する時は家で練習することになった。
フェリスが結界魔法を使えるのは祖父が使い手だったようだ。師匠も言っていたが独自の魔法や結界魔法や飛行魔法を使えることを秘匿しているやつは結構な数いそうな気がするな。
その後、フェリスをパーティに入れるための手続きをギルドにしにいくのと買い物に出かけることにした。家を出るとフェリスが服を摘んできた。
「ん~? どうしたフェリス」
「迷子になるから」
「まあいいけど、ちゃんと道覚えろよー」
「無理。私凄い方向音痴。図書館行くのもメモ持ちながら歩いてた」
「どうやって図書館までの道で迷うんだよ…」
北区にある図書館は大通り沿いにあるため大通りに出てしまえば迷わないはずだと言ったがそれでもフェリスは迷ったらしい。早速一抹の不安を抱えてしまった。
ギルドに着いたが最近は寒くなってきたからか人が少ないように感じる。混んでいる時間ではないが酒場の方は誰もいない。いつもなら朝から飲んでる奴もいたりするのだが今日はいないようだ。
「あら? アキト君今日はどうしたのかしら?」
今回はルカさんが来た。
「パーティに1人入ることになったから登録しに来た。こいつ」
「おお。登録の時のお姉さんだ」
「え? その子なの?」
フェリスをパーティに入れると言うと驚くルカさん。これはフェリスの適正のこと知ってるっぽいな。フェリスの言から魔法適正調べたのもルカさんなんだろうな。
「そうだよ。なんかある?」
「い…いえ、何でもないわ。じゃあ冒険者証出してくれるかしら。”
「はい」
「あと連絡先も俺と一緒にしておいてちょうだい」
「…わかったわ」
どこか不満そうなルカさんだが滞りなくパーティへの加入申請は終わった。
”真紅の風”から礼のとして金貨5枚が来ていたらしいからついでに受け取った。正直忘れていたが買い物代になるので良しとしよう。
ギルドマスターのドルディアスは報告を受けて問題児二人が一緒になって頭をかかえるが問題児たちの知ったことではない。
その後フェリス用のベッドや武器、防具、服を買いに行った。ベッドはすぐに決まった。布団だけはラウンズフィールで予備も含めて買ってあるので大丈夫だ。台を買っただけのようなものである。
武器はフェリスの祖父の形見と似たような大きめの杖。頑丈で白兵戦に使っても問題なさそうなメイスに似た杖だ。いつもの武器屋でバルクスのおっちゃんが言うにはそれなりにいい素材らしく金貨10枚もした。長く使えるらしく、期間を考えれば金貨10枚なら安いくらいらしい。
それから昼食を食べに”銀の止まり木”に来た。昼時は過ぎていたので行列はなかった食堂にはまだ客がいた。おばちゃんにはいつも通りの反応をされた。
「また攫ってきたのかい?」
「そうそう。王都の小さいダンジョンから誘拐してきて俺の女にしたんだよ」
「私はアキトのせいどrムグッ「私達の新しいパーティメンバーです。名前はフェリスです」
フェリスはシエラに口を押さえられ喋るのを止められてしまった。さすがに性奴隷など口にされるわけにはいかなかったのだろう。というかシエラの反応が早すぎる。おそらくこういう変な発言を最初から警戒していたんだろう。でなければ今の早さで止めることなどできない。
「は~本当に攫ってきたのかい」
「まさか続けるとは思わなかった。飯作ってちょうだい。これお土産のオーク肉ね。これで作って」
「こりゃまた夜は食堂が賑わいそうだねぇ」
おばちゃんが忙しくなると言ったのは店にいる客によってオーク肉が入荷したことが知れ渡っていくのだ。人の口に戸は立てられない。アキトもアキトでそういった目を全く気にせずにオーク肉を出すので勝手に知れ渡っていくのだ。
「今度からは厨房で出しておくれ。作ってくるから待ってな」
「覚えてたらそうするよ」
おばちゃんが作ってくれたトンカツを食べて”銀の止まり木”を後にした。フェリスはトンカツが美味しかったようでおかわりを要求していたが数に限りがあるし、夜の分に回したいということで断られていた。家でも食えると言うとすぐに引いた。
防具と服を買いに”女性用防具専門店アンビエンテ”に来た。シエラの服と防具を買った時以来だがシエラがここの服と防具には満足しているようなので値段は張るがまたここに来た。
そこからまた地獄だった。女の買い物は長いのだ。店主のアンビエンテも混ざって来て3人で話し始める。長い時間付き合い会計に移ったのだがまた金貨20枚分毟り取られてしまった。アンビエンテ曰く
「自分の女に差を付けちゃダメだよぉ」
とのこと。そう言われるとこれで良かったのかなと思う。
家に帰り夕食を食べて明日からの予定を話し終えると、フェリスがいきなり序列のことを言い出した。
「シエラが第一夫人で私が第二夫人ね」
「いきなりどうした?」
「だからシエラが一番で、私が二番。一夫多妻だとそういうのを決めるはず。私は後から来たから二番」
「いや…結婚してるわけじゃないが…まあ別に構わんが…シエラもそれでいいの?」
「ええ。いいわよ。一番ならいいわ。決めなくてもフェリスはそういうの気にしなさそうだけどねぇ」
「でもチ○チ○は差をつけないで欲しい!」
「それも何も文句ないわ。平等にね♪」
「………わかったよ。じゃあ順番な。シエラが第一ならシエラが先な」
アキトは渋々だが納得した。というよりこの状況に頭がまだ付いていけてない。こんなハーレムのような状況など予想にはなかったからだ。いくらフェリスが優秀な魔法使いになれると予想してパーティに誘ったはいいがハーレムは予想外だった。だがもう受け入れるしかない状況になってしまったのでアキトは諦めて何とか受け入れるように努力しようと決めたのだった。
一方、シエラはというと………
(アキトが第一夫人で、フェリスが第二夫人かしら? きっとこれからアキトがパーティメンバーを欲しがる時があると思うから可愛い女の子を推薦しないといけないわね。アキトのためにもなるし、私のためにもなるわ。将来的には一見アキトのハーレムっぽくして、私もハーレムに入ってるようにしておけば、私がハーレムの娘達に手を出してもいいわよね? うん。良い案だわ。アキトは甲斐性あるし、どんどん女の子を増やして貰わないといけないわね♪)
シエラのレズハーレム計画が密かに進行し始めたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます