天翔ける自由の奴隷
タイニー・O・T
第1話 灰色の世界
「は?」
俺は天野秋人。アラサーでサラリーマン。趣味はアニメ鑑賞やラノベを読むこと等。明日の仕事があるから寝ていたはずなんだが気がつくと知らない空間。一面灰色の世界に俺はいた。………何が起きたんだ?混乱しながら周りを見回しても一面灰色。明るいのか暗いのかもよくわからない。
「いや………何これ?夢?」
夢にしては体の感覚がリアルすぎる。ちゃんと体は動くし手で体を触って確かめることもできる。夢じゃないとしたらなんなんだろう?それとも夢なのか?と困惑しているもののとりあえず落ち着こうと深呼吸していると光の粒子のようなものが舞ってきた。その粒子が2箇所に集まり人型のような形を取っていく。
「何だ何だ?」
光の粒子が人型の形を取っていくのを見ていると急に激しく粒子の塊が光った。
「うおっ! まぶしっ!」
光が収まり目を開けるとそこには創作の世界である西洋の神様のような白い布を羽織ったような服装をした美少女が二人いた。双子なのか顔が全く一緒である。身長140センチほどだろうか?二人の少女が黙ってこっちを見ている。
「…………………」
こっちもどうすればいいのかわからない。悩んでいると
「「やあ」」
二人が手を上げて声をかけてきた。
「…………や…やあ?」
何が何だがわからず。とりあえず返事をする。いったい何なんだろうかこの状況は。
「うん。何が何だかわかんないよね。」
無表情で片方の少女が話しかけてくる。なぜ考えていることがバレたし!
「とりあえず説明するから深呼吸して落ち着いて。あと顔に何が何だかわかんないって出てるよ」
「あ…はい」
もう片方の少女に無表情で突っ込まれる。顔に出ていただけか。納得である。言われるがままに深呼吸する。落ち着いてくるといろいろと聞きたいことが出てくる。
「「そのいろいろをこれから説明する」」
何故バレたし!顔に出てただけじゃなかったのか!?心が読めるのか!?
「「うん。読める」」
ハモるな!双子ゆえの特性か!?
「落ち着いたかな?」
「…………………まあ、なんとか?」
まだ混乱しているが先に進まないのでとりあえず進めてもらおう。話を聞いているとどうやら俺は死んだらしい。寝ている時に脳梗塞やらなんやらで死んだらしい。それだけでひどく落ち込む。ていうかこういうのってブラック企業に勤めて過労死したり、トラックに轢かれた人がなったりするんじゃないのか? 俺超ホワイト企業勤めだったんだけど。定時は日常だったし。
見たいアニメとか漫画とかいっぱいあったのにとか、AVが転がってる部屋どうしようとか、パソコンのデータ消したかったなぁなどと考えていると。
「「どうしようもないから諦めて」」
「デスヨネー」
そういうやり取りをしているとさらに疑問が浮かんでくる。
「「何でも聞いて」」
ハモるな!あと心を読むんじゃない!!
「「ヤダ。読む」」
クソガアアアアアアアアア! 怒ってもどうにもならんか…
「えーっと………まずここはどこ?」
「神々の世界」
「……………は?」
てことはこの子達神様なの? 俺よりもずっと偉い存在じゃん? 何で俺死んでこんなところにいるの?
「偉いかどうかは知らないけど、私たちが死んだあなたの魂をここに呼び寄せた」
「何故に私なんでしょうか?」
神様らしいので敬語になる。
「適当に選んだ」
「死んだ人なら誰でもよかったからね」
「………………あなた方はいったい誰なんですか?」
思考放棄である。この不思議な神様二柱に合わせてたら先に進まないと判断しさらに質問する。
「私は風の神アウラ」
「私は土の神アスラ」
「あなたの生きていた世界とは違う世界の神様だよ」
「あなたには私たちの世界に転生してもらおうと思うの」
聞いてもないのにとんでもないことをブチ込んできた。
「あなたが生きていた世界の神様には了承得てるよ?」
「何で疑問系なの!? ていうかこっちの神様関係あるの!?」
混乱させる気満々の神様。情報過多な上に話が飛びすぎである。とりえあず質問して情報を整理しないといけない。聞いたことをまとめるとこうである。
あちらの世界の最高神とこちらの世界の最高神で話が付いている。
神様の娯楽目的でこっちの世界で死んだ人を転生させている。
転生するかどうかは自分で決められる。
神様の命令で何かしないといけないというわけではない。
他にも火の神様や水の神様がいて転生させている。
その世界には転生者も何人かいる。
とりあえずわかったのはこのくらいである。俺は今転生するかどうかを決めないといけないらしい。どんな世界なんだろうか。
「うん。どんな世界に転生するかわからないよね」
「見せてあげるね」
「は?」
すると灰色の空間が光だし、大自然の景色が足元に浮かび上がってくる。
「…………っ!!………すげぇ!」
おそらく転生する世界の景色なのだろう。人の手がまったく入っていないのがわかる大自然の景色。ファンタジーの世界でしか見たことのない生き物が空を飛び、大地には異形の人型のような生き物が見える。
そんな景色が少し続き風景が変わってくる。街だろうか?中世ヨーロッパくらいの街並みだろうか?と思い見ていると今度は人間達が映る。そこには普通の人間だけでなく、耳が長い人間、身長が小さいがやたらとガタイがいい人間、動物の耳が生えている人間、完全に動物の顔をした人間、多種多様な人型達。その人型の者達が見たことの生き物と戦う姿。体から火を出したり水を出したり雷を出している様。MMORPGのプロローグ映像にあるような光景が流れた。やがてその光景が薄くなり灰色の世界に戻った。
「こんな感じの世界だよ」
「どう?転生する?」
興奮冷めやらぬ中、二柱が話しかけてくる。
「転生します!」
男の子なら誰もが一度は憧れた世界へいけるのだ。何も考えずに即答した。
「じゃあいろいろ決めないとね。こっち来て座って」
そう指示され灰色の空間の床?に座る。何を決めるんだろうか。
「種族とかいろいろ決めてね」
そう言われ半透明のような画面を出される。さながらゲームのステータス画面のようである。決める内容なのだろうか?幾つかの項目があり、神様の言った種族やら魔法適正、スキルなどの項目がある。さっきの映像から予想はしていたが火を出したりしていたのは魔法だったらしい。
さっきまで興奮していたのが、急にゲーム感が出て現実に引き戻されたような気分である。これやっぱり夢かな?
「夢じゃないよ。前に転生させた子がこういうのあったほうが喜ばれるって言ってたから頑張って作った。さっきの風景とかもそうだよ」
その人は素晴らしい人格者だ。また転生してくる人のことを考えるなんて………俺にはできない。尊敬に値する人だ。
「じゃあこれにタッチして?決めていきますね。スキルとかってありますけど、その持ってるスキルでいろいろできたりするんですよね?」
「「?」」
二柱そろって首を傾げている。美少女なだけに可愛い。え? そういう世界じゃないの? 剣術レベル1とかってあると剣術が使えるようになったり、ステータスにレベルとか筋力の数値とかあったりするんじゃないのか?
「「そんなの無いよ」」
無いらしい。じゃあこのスキルって何だろう?いや、魔法適正もあるから。スキルと魔法は別ってことか。見ればわかるか。
「「見ればわかる」」
「あ…はい」
そう言われスキルの欄をタッチして開く。開くとそこには 鑑定やアイテムボックス、千里眼、念話、転移等といった言葉が羅列していた。
「あ~~~そういう系ですか。なんとなくわかりました。個人特有の超能力って感じですね」
「スキルは1個だけ選べるからね」
「好みのがなかったら出来る範囲で作ってあげる」
作ってくれるとかマジかよ………やりたい放題できるじゃん。だがそんなつもりはない。俺はバカだし学も無い。すごいスキルがあっても使いこなせないと思う。何より面白くなさそうだから凄いのを取るつもりはない。スキルを見ているとアイテムボックスだけは字の色が違うことに気づいた。というかあのアイテムボックスだろうか? 異空間に何か入れられるような。
「それで合ってるよ。アイテムボックスは標準装備。いくらでも入るし時間も止まる」
「前の子があると喜ぶって言ってた」
神かよその人。目の前に別の神様はいるけども。
「決めるのに時間かかると思うから決まったら起こして」
「ゆっくり考えていいよ」
どうやら時間は気にしなくていいらしい。あ、記憶ってどうなるんだろうと思ったがすでに寝息を立てている。とりあえず決めていくことにした。結果以下のようになった。
名前:アキト
性別:男
種族:スリークォーターエルフ(エルフ4分の3、人間4分の1)
髪:黒髪
目:黒目
魔法適正:火 初級
水 初級
風 上級
土 上級
雷 上級
光 初級
闇 適正なし
スキル:アイテムボックス、簡易鑑定
身長なども決めることができたが割愛する。これは成長しきった時の身体情報だと説明があった。いろいろと突っ込みどころがある内容で、身長は決められても座高等の数値は決めることができなかったの対し、何故かチ○コの大きさが決められるのには驚いた。せっかくだから大きくしておこう。決める内容が細分化されていると困るが変なところがあっても困るものである。
種族はスリークォーターエルフにした。せっかくファンタジーの世界に行くのだ。人間のままではつまらないだろうと思い人間の要素も入ったスリークォーターにした。人間だったからか人間の要素は捨てたくないと思ったのだ。
魔法適正は7属性で初級、中級、上級と3段階あり、自分の好みとこれくらいならおかしく無いだろうという内容にした。決めている時に思ったがおそらく魔法は7属性のほかにもありそうな気がする。きっとここも身体情報と同じで大雑把なところだけなのだろう。チ○コの大きさのように変なところがなくてよかった。
スキルはアイテムボックスと簡易鑑定にした。簡易鑑定がどれほど簡易なのかは説明がなかったけど、簡易ならそれほど珍しくも無いだろう。希少なスキルがあるとバレると目立ちそうだし、使いこなせる気がしないし何より面白くなさそうだと思ったからだ。正直魔法があるだけで十分だ。
決まったから神様を起こそう。体を揺らして起こそう
「決まりましたよ。起きてくださーい。」
「ん………んう」
「………………ふあ」
「スキルこれでいいの?」
「もっといいのあるよ?」
「これで十分です。」
「これ名前が分かるだけだから適当に良くしておいてあげる。」
「ええ~………名前わかるだけで十分だと思いますけど」
「「ダメ!」」
「あ…はい」
有無を言わさず決められてしまった。どういうスキルなるんだろうか………
「記憶は生まれてから10年以内には戻る」
「馴染むのに時間がかかる。成長具合によって変わるけど早いと5年くらいで戻る」
「………わかりました」
ちょっと前のことも読めるようだ。
「じゃあ最後に注意点あるから聞いて」
「はい」
「できるだけ長生きしてね」
「すぐ死んじゃうとまた誰か転生させないといけない」
「「それは面倒臭い」」
「………はい」
どうやら転生者が死ぬとまた転生させないといけないらしい。つまり前の転生者は死んでしまったのか。
「まだ生きてるけどね」
生きてるのか………会えるといいな。次の転生者のこと考えてこの神様達にいろいろ言ってくれたみたいだし。
「じゃあそろそろ行こうか」
「わかりました」
いよいよ転生だ。次気がつくと子供の姿なのだろう。期待と不安。半々だなぁ。
「30年くらいしたら会いに行くから」
「楽しみにしてて」
「あ…はい」
相変わらず変なところで情報をブチ込んでくる神様である。そう思っていると足元が光出した。
「「長生きしてね」」
「努力します」
足元の光がどんどん強くなってくる。
「あ」
「ん?」
え? ちょっ!? このタイミングでまだ何かあるのか!
「1個伝えるの忘れてた」
「えええええええええええええええ!?」
「あなたの世界の技術はあんまり使っちゃダメだよ」
「それってどういうk」
そこで俺の意識は途絶えた。
「………………行っちゃった」
「どうする?」
「う~ん」
「あの子にお願いすればいい」
「ん。それがいい」
「ついでに今の子の面倒も見てもらおう」
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