第49話
「とりあえず掃除機も一応かけておいた方が良いかもしれないな。」
自動掃除機は主機と補助機が居て主機メインで掃除して補助機が角や細い隙間の掃除をするのだがそれでも取れない埃がある。
最後は人の手でメンテナンスする。
「そろそろ終わった?」
お呼びがかかったようだ。
手を付けるところも少ないのでとりあえず今日は良しとする。
「終わったよ。」
「なら良かった。
今できたばっかりだからちょっと待っててね。」
「うん大丈夫だよ。」
涼菜さんはテーブルに綺麗に盛り付けもしてくれていた。
「さあたんとお食べ。」
「いただきます。」
炊き立てのご飯を食べるだけでも懐かしく感じるのにおかずがまた泣かせる。
さんまの竜田揚げ、かす汁、ホウレンソウともやし、ニンジンのお浸し。
給食のメニューのようにたくさんの品目と様々な味を感じることのできる旨味のあふれる献立に懐かしさを感じて涙した。
「泣くほど美味しい?」
「うん。」
職場の食堂ではいつも変わり映えのない単品のおかずメニューしか存在しなくてずっとそれをサイクルのように回し続けるだけだった。
給食も同じかと思うがその品目の多さと栄養評価を考えながら成長期に必要かつ美味しいメニューを出されるのはとてもではないが月とスッポンくらいの違いはある。
「あんまり栄養が取れてないように感じたし生ものも食べてなかったでしょう。
だから給食の献立を参考にして作ったの。
味付けは私流だから口に合ってよかったわ。」
給食費は月額6,000円ほどになっているが家庭で作るとなるともっとかかる。
あくまでもこの金額は材料費だけと見た方が家庭では懸命だ。
もし光熱費もかかりつつもこの金額を実現できる主婦が居るとした相当な腕の持ち主。
「凄いお金かかってるよね。」
「まあね。でも、君の保存食もかかってるでしょう。」
保存食も大量に作るので自然乾燥では間に合わない場合があるから機械乾燥も一部取り行っているし何より家電製品たちの稼働時間も結構あるので光熱費は馬鹿にならない。
給料の大半を光熱費や食費にかけているのはダンジョンエネルギー抽出師のベテランたちの必然の事実だった。
ダンジョンエネルギー抽出師は儲かりはするのだが大抵結婚してない。
大学で遊ぶ暇があったら勉強している奴らが殆どだし出会いを求める程の余裕は仕事に追われるあまり一切ない。
コンプライアンス委員会何それ美味しいのって感じなんだけど2世紀前の建築現場が天国に思える労働もとい牢働とでも言うべきものかもしれない。
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スライム道
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