第47話
「ふう、こんなに早く帰宅できたのは初めての経験だな。」
みずきちゃんはなんでも部活動があるとのことで親からお声がかかったらしく泣く泣くシャワーを浴びてから実花後輩が送っていくとのことで別れた。
「二日も家を空けている時点で旅行とか出張でもない限り普通は家に帰ってるからね。」
「そうだっけ?」
たった二日しか空けていない認識は一般的でないことに涼奈さんに指摘され改め実感した。
ブラック企業戦士たちは二日ほど家を空けて帰ることなどざらアンミリテッドオーバーワークスという名の固有結界が常時発動される職場での仕事しかしていなかった。
二日家を空ける、一切帰らないことは一般家庭ではありえない。
独り暮らしで友達がいっぱいいて初めて成立するようなものだ。
「ちゃんと感性を取り戻さないとね。
まあ、アドベンチャラーも長期演習とかはあるしダンジョンに籠ることも多いけど基本は日帰りが多いからきちんと休息することは覚えないと。
この二日間ちょっと夜の運動会もあったし実花さんの家にも泊っていたから疲れてるでしょう。
今日は私に休ませられること。」
「でも涼奈さん料理とかできるの?」
「もちろん、兵糧食の調理は苦手だけど普通のは作れるし先に食材は持ってきてあるから安心してね。」
ストローバック(麦わらバック)からサトイモ、ニンジン、ゴボウ、鶏むね肉、トマト色々取り出していく。
明らかにバックに入る容量ではない気がするのだが。
「それって疑似宇宙創成バック?」
「正式名称で言うって今は、タヌキバックって言うんだよ。」
「それ確か新車でポルシェが買えるくらいって聞いたけどやっぱりアドベンチャラーって稼ぎが良いの?」
「まあ1人のアドベンチャラーで新人でもコンビニの1年間分の電気代(大体480万円くらい)を1月で稼ぐって言われているしね。
私みたいに中堅くらいのアドベンチャラーは一月当たり2,000万円くらい(平均的なサラリーマンの建てる一軒家と同じ金額)は稼いでいるかな。」
つまりはコンビニが4年くらい営業を続けられる電気代を稼いでいることになる。
この時代に至るまでアドベンチャラーたちはダンジョンエネルギーをかき集め資産を形成しだし始めた時期をエネルギー経済成長期と言われおり戦争をするまでもなくエネルギーが過剰に配給される仕組みとなった。
それだけアドベンチャラーが稼いでいるのに流通とかはここ数百年停滞している。
ここで言う流通は交通機関のことを示す。
エネルギーが過剰に配給されるのであれば原子等も生成できる神の領域に簡単に踏み込むことができなんなら全世界を繋ぐ橋、天候を自由に変更することのできる機械など作れるはずだが宗教倫理の高い国ではそういったことが行われず日本も研究をしているが軍事力を提供してくれる国にいい顔をされないので直接的な軍事に関わらないように慎重に取り行っている。
尚貧富の格差は世界的に見れば改善はされている。
「とりあえず掃除から始めるから葵君には自分で片付けたいところを片付けてくれる?」
「うん分かったよ。」
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スライム道
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