第3話
「エロ同人見てるんだよね。」
この酔っ払いに会うまで満身創痍の状態だった彼女は極限状態の中で黒歴史を暴露されそうになり羞恥心でさらに心身的にも追い込まれようとしていた。
「な、何度も言いますが今はそんな時では。」
「スライム~なんて~ちょちょいのちょい~にゅうか~。」
固体として残っていたスライムは突如として形成を崩し込み雪崩のように液体になって行った。
「ど、どうして?」
「むふふ~お姉さん~お肌~きれいきれい~しよう~。」
「酔っぱらってないで。まだここはダンジョン内部です。ってコラぁ変なところ触らないで。」
ほっぺと二の腕と脇をぷにぷにと遠慮なくまさぐっていく。
「セクハラで訴えますよ。」
「うわーん。」
「だから泣かないで。大きな声出さないで。」
酔っ払いの介護は大変だと思うがここは戦場。
大きな声を出したものから殺されて行ってしまう。
mou
「こ、今度は迷宮主が来てしまったじゃないですか!」
酔っ払った目から見えたのは幾千もの迷宮物語の怪物の代名詞ミノタウロスだった。
彼らが一度手を振るえば人間は瞬く間に木端微塵になっていた。
巨大な角は強さの象徴として狩れば莫大な永久機関になるとすら言われているかのモンスターは誰も討伐されたことが無かった。
人間の中では討伐例が存在しない伝説上の怪物に対して迷宮に挑んだ者たちがすることはただ一つ。
「早く。逃げますよ。」
既にボロボロの身体に鞭を打って逃げることしかなかった。
「何がアドベンチャラー(冒険者)だ~俺だって冒険してるんだよう~。」
ほぼ八つ当たりで行うそれは酔いのいたりというべきかミノタウロスの足にペチペチとパンチが当たって行った。
羽虫ほどにも及ばないそのパンチに優越感を覚えたミノタウロスは顔面を下に向けて嘲笑の笑みを浮かべた。
「あなたのことは忘れません。」
酔っ払いとはいえミノタウロスを惹きつけていることには変わりない。
その場であった他人と自分の命を比べればはるかに自分の命の方が重い。
だから彼女はこの場を離れようとしていた。
そう、ありえる筈のない光景をその瞳に焼き付けるまでは。
「オラオラオラァ。」
高々なんのスキルもない一般人のパンチを受けながらデコピンを酔っ払いにすれば。
「痛ってえなクソ野郎。」
クスッ
怒り上戸になった酔っ払いに対して鼻で笑うミノタウロスはゆっくりと頭を前に出して彼を捕食使用した。
その時
「俺の石頭舐めるんじゃない。」
ミノタウロスの角を持って頭を一気にぶつけた。
本来ならば硬い要塞のような強い頭蓋骨によって守られていた頭はその見る影もなくぺしゃんこになった。
「え。」
その言葉を発したのは女冒険者だった。
________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________
読者の皆様の感想。
レビューが作者の励みになります
コメントが苦手な方でもぜひ反応を示してくれると幸いでございます。
また誤字脱字に関しましては一息ついてから確認いたしますのでご協力お願いします。
出来ればより多くの方にお読みいただき感想をいただきたいのでレビュー評価を入れてくれますとだいぶ助かります。
レビュー評価を星一個入れていただけるだけでも呼んでいただける母数が増えますのでお願いいたします。
スライム道
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます