2-?.Madonna of the Carnation
ガイア。「大地」を意味するその名は現代において、「外部からの襲撃のシャットアウトが完了しており、尚且つライフラインが確保されている地域」を示す。ガイアは旧世界の100万都市を基盤としておよそ170と言われており、SSGの支援もあって今後も数を増していくだろう。
「外部からの襲撃のシャットアウト」の定義は定まっておらず、厳重なバリゲートを敷いている都市から、簡易的なガラクタで囲ったものまでガイアにより特色が現れている。ガイア・メディオで採用した強化発泡スチロールはその中でも最も手軽で速効性のある壁で、初期よりSSGの息が掛かったガイアはほぼほぼこの形状だ。スチロール樹脂を満載したトラックを走らせながら後部に散布することでスチロール樹脂が上部に向かって膨張、数時間後には道路に沿って二階建て家屋ほどの壁が反り立つ。我々ワイルドウイングがイタリア中のガイアでこの壁を作成したことも記憶に新しいが、ボスはその事業で現在の地位を築いたと語る。なお俺は実質ワイルドウイングナンバーツーだが、経理状況は全てボスが握っているため定かではない。
二項目の「ライフラインのが確保されている」という条件だが、こちらは明確に定義がある。それは「モノリス・ジェネレーター」を保有している都市ということだ。世界の死を経てガス水道電気インターネットの四大ライフラインは全て失われた。インターネットはSSGにより再確保され(水道は現在備蓄に頼っているがSSGの世界再開拓が進むにつれこちらも確保可能の見込み有)、残りの電気ガスを担うことになるのがモノリス・ジェネレーターである。モノリス・ジェネレーターを旧世界の発電機に接続することで、生存者全員の生活分電力を生み出せる。特にワイルドウイングが保有しているモノリス・ジェネレーターは強力なもので、その余剰性能分でストリートレースというイベントを開催できるほどだ。
モノリス・ジェネレーターの動力源はガイアの外で手に入る。その動力源の確保方法もガイアによりけりだが、最もメジャーな布陣がメディオでも採用されている「ガイア・ウラヌス型都市」。強固な壁に囲われた「ガイア」を、粗く壁で囲った「ウラヌス」と呼ばれる緩衝地帯で二重に囲っている。大地を包む「天空」を意味するその地域で動力源の確保を効率的に行うのが「ガイア・ウラヌス型都市」のセオリーだ。例外はあるが、世界中のガイアの9割がガイア・ウラヌス型を採用していると言われてる。
完全に安全の確保されたガイアから外に出るのは、各ガイアの自治団体(SSGが指定。メディオにおいては我々ワイルドウイング)により規制されており、メディオ唯一の出入り口となるゲートに近づく一般市民は、我々の他まずいない。ボスが今夜の作戦開始地点をゲートにしたと聞いているが、そもそもそこに現れてくれるかが問題だ。念のためワイルドウイング精鋭部隊のマシンもメンテナンスをしておかねばならないだろう。
……今回も整備にはあまり関係のない事項を書き連ねてしまった。次回以降は整備に関する記述で埋めることとしよう。
アレックス・ナトリの整備手帳
vol.02
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