SAVE

 地面が揺れる。この廃れた都市ではいつ何が起きるかわからない。突然地震が起きたり、建物が独りでに崩れたりするのも日常だった。

 だから、僕は注意を怠った。いつも起きていることだったから慣れてしまったんだ。

 ドン、と背中に衝撃を感じて飛ばされる。振り返れば古びたビルの上半身が崩れ落ちてきたところだった。僕を押した彼女は笑顔で、ビルの下敷きになっていく。あぁ、彼女は死――。


 リセットして、直前のセーブデータからロードする。また彼女は主人公を助けて死んでしまった。これでもう、四十九回目。

 彼女を助けられるルートはない。本当は知っている。それでも俺は何度だってセーブとロードを繰り返す。


お題「救う」290字

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