ヤング・ジャパニーズ

荒川アルドー

プロローグ 創世記

 そろそろアメリカ軍の空爆が始まるらしい。


 こうなってしまった原因について、俺はいろいろと考えてみた。

 何年も前に起きた原子力関係の事故による影響、どこぞのろくでなし企業が汚染物質を川に流した、いや、外的な要因ではなく自然界の突然変異という可能性だってある。


 でも何もかも手遅れになった今となっては、もうどうでもいいことだ。


 空爆が始まれば、俺も、今隣にいる彼女も生き残ることはできないかもしれない。だから俺はこのノートを書く。思い出せる限り、それが起こった一週間のことを書き残す。俺のことも、彼女のことも、もちろんあの人喰いミミズのことも。


 このノートを残す。俺たちがこの世に生きた証として。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る