小話集。

てつひろ

K

「最近暑くなってきて、ついに昨日出たんだよ、俺、思わず叫んじゃってさ」


「え、叫んだって、それってまさか、あの、黒光りする、気持ち悪い、ゴキ……、G?」


「いや、K」


「K? え、ゴキ……、え、Gではなく? K? え、Kってなに?」


「え、わかんないかな? ほらKだよK」


「K……、け、け、か……、あ、蚊?」


「違う。昨日、ああ、Kのう、KにKがたくさん」


「KにKがたくさん! てか昨日をKのうって言うなよややこしい」


「わかんない?」


「え、ちょっと待って、え、Kだよね、K……、か、か、カメムシ!」


「違う」


「カマキリ!」


「違う」


「か、き、く、け、け、毛虫!」


「違う」


「わからん! え、なに? Kってなに?」


「キノコ」


「キノコ! キノコか、いや、でも、まあ、多少驚くかもだけど、言ってもキノコで叫ぶか?」


「見てみる?」


「え、今、見れるの?」


「このカバン」


「Kにってカバンか」


「そう、KのKバン」


「いや、いいよ、もうKは」


「じゃあほら顔近付けて」


「ん、あ、おう」


「いい? ほら、開けるよ」


「お、おう、勿体付けられると緊張するな」


「いくよ、はぁい!」


「……Gyaaaaa!」


「あ、Gだ」




『K』昨日鞄にキノコ

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