監視者の異世界転生〜これは普通の異世界転生か?

未定

第1章 少年編

第1話 この話の主人公は、6歳の少年ファミリア。

 長い夢のあと、僕が辿ってきた道のりは途方もなく長くって……



 心地良い風が吹いてくる。

 僕は目を覚ます。


 フライパンの縁で生卵の殻を割る音が聞こえた。

 目を擦ってからよく見ると、中からこぼれ落ちたそれは、じっくり、けれど確実に、その身を焦がしていった。

 それは何だか、僕には決して遠くないものに感じた。

 似ていた。



 「あら、ファミリア。今起きたの?随分早起きなのね~」

 「うん、ママ。今日はね、なんか、目が覚めちゃったの」

 「そうなのね~。ファミリアちゃん、美味しい卵焼きできてるから食べましょう」

 「うん!……って、ママ~。ファミリアでしょ~。今日は、ボクが大人になるための1歩目、大事な日なんだから、かっこよく呼んでよー」


 お母さんといつも通り、他愛のない会話をする。

 僕のお母さんは、いつも優しい。だから、僕は、お母さんみたいな優しい人になりたいんだ。



 朝食を食べてからしばらくすると、階段を降りてくる音がした。お父さんだ。


 「おはようさん。カレン、ファミリア」

 「ハルス、おはよう~♡」

 「パパ、おはよう~」

 

 お父さんは、かっこいい。

 僕の憧れの人だ。すっごく強くて、お母さんのこと大好きで、僕にも優しい。今も、僕の頭を大きな手でわしゃわしゃしてくれてる。

 僕は、うれしくなって自然と笑顔になった。


 「ファミリア~、今日は待ちに待った授与の日だな。心の準備は大丈夫そうか?」

 「うん!少しドキドキしてるけど。パパみたいに強くなれるスキルがいいなぁ」 

 

 っていうのは、この世界に生まれた者が1つだけ神様から授かるといわれている特別なスキルのことだ。

 スキルは、技能のことで、生まれつき備わっているものや、経験を積むことで習得していくものなどがある。

 こういったスキルは、ステータスと呼ばれる神様の技術によって、いつでも自由に確認することができる。

 ただし、ステータス、それから固有スキルを直接授けるのは、神様ではなく神官様だ。神官様は皆、スキル《宣告者》を持っている。特殊な力が付与された神様の言葉を神官様が告げることで、僕たちはステータスと固有スキルを授かることができるらしい。

 

 「強くなりたい。そう思うのは男の子としていいことだと、お父さんは思う。けどな、スキルに善し悪しを求めるのは違うぜ」

 「どういうこと?」

 「いくら特殊な固有スキルとはいっても、強くなれるかどうかは本人次第だ。一見強くなれなそうなスキルでも、強くなりたいって意志を持って努力し続けることで、見えなかったもんが見えるようになる。分かるか、ファミリア?」

 「う~ん……半分くらい?」


 どんな固有スキルでも、強くなりたいって気持ちを捨てずに、スキルと向き合って努力し続けることが、最強への道ってことなんだろうけど……

 "見えなかったもんが見えるようになる"か。



 「さて、言いたいことも伝えたし……そろそろ出発だ、ファミリア!」

 「うん!」


 よしっ、決めた!

 どんなスキルでも、僕は絶対がんばって最強を目指す!




 少年は、の、の殻の中の違和感に気づかないまま、その日の朝を過ごしていた。 

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監視者の異世界転生〜これは普通の異世界転生か? 未定 @liar02

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