愛を盗んで恋しよう
DITinoue(上楽竜文)
前編
「ビービービービー」
とある高層ビルでは、警報装置の音が鳴っていた。誰かが、ビルに
侵入したようだ。
「これが、伝説のダイヤか・・・。」
世間に名をとどろかせている、怪盗、ルパン23世は、つぶやいた。
「こらぁ~、待てぇ~い!」
怒鳴る警備員の声もむなしく、今日も、ルパンは、見事に盗んで見せた。
どんなに、厳重な警備体制でも、ルパン相手では、歯が立たない。
「よし、目的のお宝は、あと1つだ。大富豪、ルーベルスの屋敷にある、
金の王冠のみだな。」
ルパンは、すぐに支度を済ませ、今日も盗みに行く。今日のターゲットは、
大富豪、ルーベルスだ。そこには、「神の冠」とも言われる、王冠があった。
ルーベルスは、とんでもない大富豪で、こんなものをいくつも金で買っていた。
そして、この王冠を盗むことで、ルパンが目指す、21の宝をすべて手に
入れることができる。
「よし、行くぞ!」
ルパンは、厳重な警備をものともせず、難なく突破した。そして、
すぐに、宝のある、てっぺんの塔についた。
「これで、全てがそろう。俺の求めたすべてが・・・。」
「待ちなさい!!」
これで、終わる・・・と思った矢先、この声は、響いた。声の主は、ルーベルスの
娘、マリアであった。さすがのルパンもちょっと驚いたようだった。
「だ、誰だ・・・?」
ルパンが振り向いた瞬間、マリアにハートの矢が刺さった。
(かっこいい!イケメンだわ!!)
元々、マリアは、自分が好まない相手に、結婚することがルーベルスによって
決まっていた。なので、それを脱出すべく、新しい恋が欲しかった。
さらに、幼いころは、美少年として、とても有名だったルパンに惚れない
ハズがなかった。
「なんだ、ただの女じゃないか。まあいい、お宝はゲットしたし、脱出だ・・・」
「ちょっと待って!」
「なんだよぉ~」
「えっとあの、私、ルパンさんに・・・えっとそれが、怪盗のお手伝いを
してみたいんです!」
「はぁ?手伝い?!」
ルパンは、あまり大人数でいるのが好きではない。誰か、裏切り者が
出ては困るし。足かせになるかもしれないからだ。しかし、マリアの目は、
とても輝いていて、例えば置いていったとすると、ルーベルスが娘を盗んだと
誤解して、警備部隊を出動させたりという恐れもある。仕方なく、ルパンは言った。
「はいはい分かりました。はい、ここにつかまって。脱出するぞ。でも、
お父さんがなんか言ったって、俺は知らないぜ。」
2人は、ルーベルスの豪邸からあっという間に脱出した。
ルパンとマリアが脱出した後、王冠を盗まれたと知りショックを受けていた
ルーベルスは、さらに衝撃の事実を知った。
「マリアが、ルパンにさらわれただと・・・?!」
そう思うのは、仕方ない。だが、本当は、美男子に弱いマリアが勝手に
ついていっただけだ。だが、パニック状態のルーベルスがそんなことを考えられるはずがなかった。ルパンは、すでに煮立っていた。
「許さん!ルパンめ!警備隊!マリアを必ず探し出せ!」
ルーベルスは、警備隊の一部を、マリア探しに使った。
だが、それで見つかるほどルパンは、甘くなかった。
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