「文体の舵をとれ」練習問題

石谷 弘

練習問題①文はうきうきと 問1

一段落~一ページで、声に出して読むための語りの文を書いてみよう。その際、オノマトペ、頭韻、繰り返し表現、リズムの効果、造語や自作の名称、方言など、ひびきとして効果のあるものは何でも好きに使っていい――ただし脚韻や韻律は使用不可


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 そいでよ、落ち延びた一行をよ、おさは二手に分けなすった。そいを向かい合わせの峰のかみに置いてのたまわしたんじょ。もし、我がわがらが見つこうた折はのろしぃ上げえ。ほいたら我がわがはこれまでと思おう。そいで一年が経ち、二年が経った。追っ手は来んかった。やからみな、少おしだけ気ぃ緩んできとったんやもしれん。とうとうのろしぃ上がる日が来おった。けんど、そいはしもで隠れとった郎党どもの明けの煮炊きの煙が漏れ出しただけやったんじょ。郎党どもは慌てて火ぃ消してかみへと走ったが、息も潜めて隠れておった山ん中やして。道なんざあらせんのよ。崖を下り、川を渡って、向かいの峰の奥んまでたどり着いたんは、もう日ぃもたこうに上がってしもたあとやった。気ぃ整えんのも、ことに及ぶんもそげにかかることでもなし、おさも奥方もそのお子らもみいな、はかのうなってしもうてたんやそうな。

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