魔女と警官.
雨が上がり、いつかどこかの街で、こんなやりとりがありました。
「あれ、あなたはあの時の…」
「やめてください」
「何でですか」
「魔法をかけてしまうの。本当にあるのよ」
「はぁ?」
「今まであなたのようになってしまった人を何度も見て来たから」
「魔法なんてあるはずが…」
躊躇ってしまって、次の句は継げなかった。
彼女が、本気で怯えているようだったからだ。
「…そういうのは、私は知りません」
「…」
「こっち来てください」
ちょいちょいと手招きをするが、彼女は来ない。
仕方なく、
「えっと、一応自分が掛け合ってみたんです」
「ツアーガイドとかは、嫌々やってるわけじゃないのよ」
「わかってます。でも、一応。そしたら、何か奇跡的に話が通りまして。補助金が下りるそうです。あっもちろんあなたの話をしたわけじゃなく」
「…」
警官は、魔女に向かって歩き出した。
警官は、彼女の背中にそっと手を添えた。
「来てください。一緒に行きましょう。この辺は治安が悪い」
「…」
彼女は警官の手に身を委ねた。
そこには小さな魔法があった。2人は晴れ上がった道をゆっくりと歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます