第47話 菊地秀行先生とそのアニメ化作品
どーも。
くろねこ教授です。
今回のお題 菊地秀行先生とそのアニメ化作品。
という事で行ってみましょう。
前回 菊地秀行先生の『エイリアンシリーズ』に関して少し言及したので。
そのついでです。
作家:菊地秀行
代表作:『吸血鬼ハンターD』、『魔界都市ブルースシリーズ』、『妖獣都市シリーズ』他多数
ファンタジーと呼ぶよりは伝奇小説と呼ばれるジャンルの作家。
この辺の名称やジャンル分けは明瞭では無いが。
おそらく、大人向け小説でファンタジー要素ありなら、なんでも伝奇小説と呼ぶのではないかと思われ。
そのジャンルでは夢枕獏先生と並ぶ第一人者。
80年代から90年頃、ラノベ(この頃はまだジュブナイルとゆー呼び方だった)から、一般的エンターテインメント作家へと飛び立っていく。
『吸血鬼ハンターD』『魔界都市新宿』『妖獣都市』などがアニメ化されてるので、それで知ってる方もいるかな。
まだメジャーデビュー前のCLAMP氏が『魔界都市ブルースシリーズ』が大好きと広言されて、同人誌作ったりしていて。
そう言えば一時期、田中芳樹先生と並んでコミケの女性ブースで一区画出来ていたような時期も有ったような……
そんなワケで当時の女性なら結構知ってる作家さんだったりするのかもしれない。
既に70歳を越える御年齢のハズなのだけど、現在でも新刊を出し続けておられる。
若い頃の多作、速筆ぶりはハンパ無かった。
デビューして、ヒットして、年に5冊も6冊も出版される作家さんと言うのはそれなりに居ます。
しかし菊地先生はケタ違い。
毎月のように新刊を出されていて。
普通の作家さんならトーゼン息切れする物なのですが、その状態が何年も続いた。
しかも書きとばしたと言うには完成度の高い作品が多かった。
くろねこ教授は『魔人街 - コマンド・ポリス』とかけっこう好き。
ディストピア風、狂った街とそれに呑み込まれた被害者女性。
ヒーロー役の刑事も暴れ者の大男と残虐サド美青年。
かなり希望の無い展開をして行くのですが、何故か読後感は爽やかに終わるのだよな。
アレはどういうテクニックなんだろうな。
いまだにナゾ。
『魔戦記』
アレキサンダーの生まれ変わりの青年と語り部の老人社長。
社長がすげえ俗な欲望丸出しの爺さんで主役を食っていて面白かった。
『ブルーマン』
これはもう……特殊な主役の小説読みたい、と思う方なら一読するしかないだろう。
主人公は殺人狂。
それもクールでイカした二枚目とかでは無い。
痛みに弱くてやられると泣きながら逃げ出したりするヤツなのだが、その一方で他人の痛みは分からない。
分かろうとする気が無い。
自分の恩人の親娘でも平気で殺したりする、やべーキャラ。
『ウェスタン武芸帳』
設定を説明するのが難しい。
沖田総司が主役で、坂本竜馬を追ってアメリカ大西部を駆けめぐると言うトンデモ時代劇。
加えて西部にはティラノザウルス出現したりするフシギ異世界。
また主役の沖田総司が相当に特殊。
いろいろなイメージの沖田が世の中にはあって、そんなパラレルな沖田の集合体的、多重人格。
時に子供も容赦せず殺し、女を犯す。
時に子供と入り混じって童子のように一緒に遊ぶ。
坂本竜馬がやろうとしているナニカがその世界と沖田のパラレル化現象に関係していたようなのだが、語られず終わる。
後はやはり代表作。
『吸血鬼ハンターD』。
辺境を彷徨う黒衣の吸血鬼ハンター、その名もD。
正体はダンピール、呪われた貴族とのあいの子。
最近ではそう珍しくも無い設定だけど、当時は間違いなく斬新だった。
冒頭で、世界設定が「西暦12090年」とか言い出すのもムチャすぎてオモシロかった。
そこにまた……
「一つだけ聞かせてください。
『D』とは・・・・・のDですの?」
貴族の誰もが聞いただけで震え上がるその名、神祖・・・・・
あれクライマックスに持ってこられると、やっぱトキメク。
くろねこ教授としては菊地秀行先生の、あの小説の持って行き方、表現の思いきりの良さ、ホントウにスゴイと思っているのです。
『風立ちてD』なんか重要人物バンバン死んで、ヒロインの少女は人間に希望無くして、トンドモひどい展開なのだけど。
少年が最後に馬車で旅立って、Dが微笑んだから、なんとなくハッピーエンドになってしまう。
『D死街譚』も街一つ滅んで住んでる人みんなどうなっちゃうやらだけど。
『夢なりしD』も関係者全員もうお亡くなり、だけど。
最後に希望があって、読んでる人の胸が軽くなって終わる。
あの表現はなかなか出来ない。
普通のラノベなんかだと……
犠牲者が出たのは哀しいけれど、俺達はそれを忘れず未来に活かして行こう。
みたいなウジャウジャ五月蝿い小理屈並べてからでないと出来ないんだよな。
そんな小理屈は読んだ人が頭の中でフォローすればいいじゃん。
物語はもうこれで終わりでいい。
そんな風に思う。
いや、ホントにそう思ってるんですよ。
皮肉とか混ぜてないです。
少し余談。
菊地先生は山田風太郎先生に影響を受けていると広言しています。
『Dシリーズ』の本分の中で。
……魔鳥のように飛んだ。
と言う表現があって、くろねこ教授はこの文かなり特殊だなと思っていて。
魔鳥ってまずなんだよ、それが分かんないと比喩になってねーじゃん。
と思いつつ、なんとなく雰囲気で伝わってしまう。
おもしれーの、と思っていてなんとなく覚えていました。
それが山田風太郎先生の作品を読んだら。
……魔風のように走った。
とゆー一文が有って、おおっ! と思いました。
いや、あんま関係無いのですがつい思い出してしまったもので……
はい。
んじゃ、小説はここまで。
次、アニメ。
『吸血鬼ハンターD』
1985年のOVA。
劇場公開していて、くろねこ教授も映画館で観たので、映画と思っていたのだけど。
公式にはOVAとなってるね。
小室哲哉氏が音楽を担当してたりするのがオモシロイ。
監督は大ベテラン芦田豊雄さん。
この頃のOVAっぽく背景に『ダンクーガ』や『ガラット』のキャラが登場したりしていた。
それなりに原作を知らない人にも分かり易く作った佳作だと思う。
さすがに現在鑑賞すると古すぎるツクリだろうか。
海外ではヒットしたとゆーウワサも有って、それがその後の劇場版製作にもつながる。
『妖獣都市』
1987年公開のアニメ映画。
くろねこ教授はこれOVAだと思ってたんだけどな。
宣伝もOVAとして宣伝されてたハズなんだけど、wikiだと映画になってるな。
川尻善昭監督作品。
知る人ぞ知る大名作。
18禁扱いされたりもして。
エロシーンも多いので女性にはススメにくい。
観る機会があるなら是非見て欲しい。
くろねこ教授はクモ女がやられて、バタバタするシーン大好き。
『魔界都市新宿』
1988年製作OVA。
菊地秀行先生の評価が低いと言う。
川尻善昭監督作品なんだけどね。
確かに脚本のデキは……
でも荒廃した新宿に木刀ひっさげた高校生が挑む、とゆービジュアルは悪くないと思う。
エロ無しなので万人にオススメしやすい。
『風の名はアムネジア』
1990年公開アニメ映画。
原作の一話完結の連作シリーズを強引にまとめて良く分からなくなってる感は在る物の、まあまあ。
地球人類、全員いきなり記憶喪失に、ってゆー設定が良いよな。
舞台が何故かアメリカなのも独特。
現在もNET配信してるので観ようと思ったら観やすい作品。
『バンパイアハンターD』
『Vampire Hunter D: Bloodlust』のタイトルで1999年アメリカ公開された映画。
日本で公開されたのは2001年。
音声も英語版しか公開当時存在せず、後DVD化の際日本語吹き替え版が造られた。
これはもう本当に名作。
貴方がアニメ好きなら一度は観て欲しい。
くろねこ教授のアニメ映画ベスト5には必ず入る作品だ。
えっ、他の4本は何かって……、えーとえーと……『うる星やつらビューティフルドリーマー』は入るよな。『風の谷のナウシカ』も。『攻殻機動隊』『パトレイバー』『ガンダム』だったら哀戦士かな。もっと最近のだと『この世界の片隅に』。『銀河鉄道999』だって、『あしたのジョー2』だって入れたいじゃん。『サマー・ウォーズ』とか。『君の名は』は好きなんだけどベスト5とゆー程じゃないかな。『AKIRA』とか『エヴァ』とか。『カリオストロの城』? 『まどか・マギカ』はテレビの方が良かった。
あー、もうここまで!
映画だけのハナシね。
『バンパイアハンターD』のハナシ。
なんとゆーかもう。
川尻善昭監督、スバラシイ。
くろねこ教授はサイボーグ馬売ってる爺さんのシーンが大好物。
「わしらが子供の頃の話じゃ。
貴族がこの辺で暴れておって、子供達が大勢さらわれた。
そこで金を出しあって吸血鬼ハンターを呼んだんじゃ。
男は来た。
子供たちは村へ無事に還って来た。
ところが村人たちはハンターを追い出した。
男がダンピール、貴族の血を引いていたからと。
賞賛で出迎えるべき男を石を投げつけ追い払ったんじゃ」
「ワシがあの時の子供の一人だ。
そして……アンタの顔は良く覚えておる」
なにも調べず記憶だけで書いてるので若干セリフ違うと思う。
でもだいたい合ってるハズ。
このシーンみたくて何度も見返しているくろねこ教授なのだ。
もう20年も前に作られた本作だが。
作画的に現在でも十分見ごたえあるので、是非鑑賞して欲しい。
という事で今回は以上。
『魔界都市ブルース』秋せつらのハナシなんかも書きたくないコトも無いのだけど。
他にも菊地先生原作のマンガとか。
『ダンゲロス』シリーズって、いくらなんでも菊地秀行の魔界学園ネタそのまんま過ぎないとか。
まあ、そのウチ機会があったら。
ではでは。
くろねこ教授でした。
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