第23話 小説『探偵は御簾の中 鳴かぬ螢が身を焦がす』
お久しぶりです。
くろねこ教授です。
間が空いてしまいました。
もっとポンポン日記的に書いていきたかったのになー。
『ゾンまほ』が現在クライマックス、最終章を執筆中。
『和泉さん』が12月1日スタートの冬の章で終わり予定。
『中学生破壊魔』もラストを書いてたりして。
バッタバタだったのです。
タイミング合わせちゃったくろねこ教授が悪いんだけどな。
何となくその辺も一段落したので色々感想行ってみましょう。
書名:『探偵は御簾の中 鳴かぬ螢が身を焦がす』
作者:汀こるもの
概要:平安貴族ミステリー、『検非違使と奥様の平安事件簿』に続く第二弾。
検非違使別当、祐高は妻一筋。平安の貴族女性達に憧れられる夫婦像。しかしその北の方、忍の上は「祐高様は愛人をお持ちでないの。そういう方がいたら紹介してよ。わたし、お友達になりたいわ」などと言い出す女性であった。
という事で、汀こるもの様の新刊。
汀こるもの様 好きなのです。
どの位好きかと言うと、『れべきゅーしりーず』最終巻、本人作成同人誌『レベル94少女から最後の挨拶』紙書籍を通販で買ってしまった位。
もう同人誌は買わないって決めてたのになー。
いや、これは自費出版本。
同人誌では無いのだ、みたいな。
これ凄いですよ。
講談社ノベルで五巻まで出たシリーズの六巻目。
ナゾの事情で講談社から出せなかったらしく、作者本人が出版。
それもサイズを新書サイズで、デザインもそのまま並べて違和感ない様に作ってあります。
おもろいのは講談社ノベルの背に居るワンポイント、犬のキャラクターを魚に変えてるところだな。
というか、そこまで汀こるもの様を自分が好きだと思ってなかったのですが何だかフツーには読めないのだと思ったらついポチってました。
うーむ。
自分で思ってた以上に気に入ってたのか。
汀こるもの様、カクヨムでも書いていらっしゃいます。
本人が出版社から出してるシリーズの番外編が中心。
先日も『少将純直、猿神と戦うこと』を投稿していました。
『探偵は御簾の中』の話をまだ全然してないな。
平安ラブコメミステリー。
第一弾の帯は、『夫にかわって謎解きよ!」
さらにそこに陰陽師、晴明では無いけれど安倍の姓を持つ男も絡んできたりして。
なんかこう如何にも、少女向けラノベとゆーか。
『なんて素敵にジャパネスク』の系列とゆーか、例えが古すぎか。
みたいに思う訳ですが。
ラブコメも何も、主役二人忍の上と別当・祐高は既に夫婦。
しかも三人の子持ち。
いまさらラブコメじゃねーだろ。
と言いつつ、結局二人の世間知らずな恋の話になっていく。
第二弾の帯は『両片思い夫婦にときめいた』―夫はヘタレな警察トップ、妻は隠れた名探偵。
京の夜の暗さ、怖さがシンと来る。
中心は忍の探偵ストーリーの様に見せて、遊女蛍火の純愛。
結局、忍さまは平安貴族、お嬢様でしかないところがハッキリしたり。
汀こるもの様、何処が好きなのかと言うと。
多分、外側はいかにも有りそうなエンターテインメント。
『ただし少女はレベル99』なども神霊能力の有る少女、出屋敷市子と普通の中学生芹香の友情、ファンタジーの様なスタイル。でもその分かり易いエンタメパターンをすぐに壊していく。永劫回帰なドラえもんちっくなエンタメを即、裏切る。もう少しゆっくりとラノベ的にダラっと楽しみたいと読み手が思っていても、そうはいかない。ラノベに持ち込まれない要素がすぐ持ち込まれる。すぐに極限状態がやって来る。
「ぼくはね、親の役目は、子供にご飯を食べさせることだと思ってる」大雅さんが市子に言ったセリフ。中学生がマトモに食事も出来ないシチュエーションが即発生してしまう。
『探偵は御簾の中』もそうだ。貴族の奥さまと言いつつ、家で御簾の影に隠れていらんない。事件を聞いて飛び出ちゃう忍の上。みたいな明るく楽しいエンタメと思って楽しめるのは一瞬だけ。すぐ忍の上には限界が来る。陰陽師として出て来た安倍泰躬も怪しい術は使ってくれない。
そういうラノベ的シリーズのスタイルを取りつつ、そのスタイルをすぐにはみだす、スタイルをすぐ壊そうとする。汀こるもの様の作品はそんなバランスの上に成り立ってる。そんな風に感じているのです。
良し、こんなとこかしら。
あと『THANATOSシリーズ』も好きです。真樹君が壊れて機能制限版特殊キャラが出て来るシーンも良いですが、倫さんの背の低い女性はいつでも怯えてる、ハラスメント的恐怖を語るシーンも男には書けない凄いシーンだと思った。
ではでは。
今日はここまで。
次はすぐに書く予定。
くろねこ教授でした。
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