404話 従姉妹の2人のケンカ

 俺が朝っぱらからミルキーと致そうとしていたところ、乱入者が現れた。


「おはようなのです。コウタくん、それにミルキーさ……」


 部屋に入ってきたのは、俺のハーレムメンバーの1人であるミナだった。

 しかし、彼女は部屋の中にいるミルキーの姿を見るなり固まる。


「こ、これは一体どういうことなのです!?」


 驚愕の表情を浮かべながら叫ぶ。

 俺はため息を吐きつつ、彼女に声をかける。


「……ノックくらいしたらどうだ?」


「は? ……はぁっ!? なんで平然としているのです!」


 ミナは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしてきた。

 俺は冷静に対応する。


「そう興奮するな。ミルキーは俺の恋人になったんだよ」


「こいびとぉ……?」


「ああ」


「ミルキーさんとコウタくんが、恋人に……」


「そうだよ」


「そんな……。バカな……なのです」


 ミナは驚いている様子だ。


「どうしたんだよ? 昨日、ちゃんとそういう話になったじゃないか」


「でも、さすがに手が早すぎるのです。てっきり、キスをするぐらいまでかと……」


「まぁ、いろいろとあってな……」


 俺は頭を掻く。

 すると、ミルキーが体を起こした。


「おう、ミナ。おはよーさん!」


 ミルキーは元気いっぱいに挨拶する。


「あ……。おはようございます、なのですよ」


「なんだ? 変な顔して。アタシの顔になんかついてるか?」


「い、いえ……。なんだか大人っぽくなった気がするのですよ」


「そうかな?」


「はい。とっても綺麗に見えるのです」


「えへへ……。ありがとうな、ミナ!」


 ミルキーは嬉しそうな顔をした。

 従姉妹同士、仲は良好のようだ。

 俺は胸をなでおろす。


 と、そのときだった。

 2人が同時に俺の方を向いた。


「な、なんだ?」


 2人の目が据わっている。


「コウタくん、ミルキーさんとはどこまでいったんですか?」


「んー、まぁいろいろ?」


「いろいろって何なのです!?」


「まぁ、それはだな……」


 俺はミナの勢いに気圧され、言い淀んでしまう。


「コウタ坊! ミナとはもういろんなことをしてるんだろ?」


「そうだなぁ。大抵のことは……」


 ジョブの特殊な取得方法との兼ね合いもあるし、かなり変わったプレイまで行っている。

 だが、それを正直に言うべきかどうか。

 なんだか、不穏な空気を感じるのだ。


「ミナにやったことを、アタシにもしてくれよ。コウタ坊のためなら、なんだってやるよ」


「新参のミルキーさんに無理はさせられないのです。ここはボクが!」


「大丈夫だって。コウタ坊のために頑張れるぜ。それに、ミナの体にはそろそろ飽きてきたんじゃないか?」


「なっ!? そ、それを言うなら、ボクより年上のくせにずっと処女だったミルキーさんこそ、大したテクニックは持っていないのではないのです!?」


「はぁ? お前だって似たようなもんだろうが!」


「ボクはコウタくん一筋なだけなのです!」


「おい、ちょっと待て。朝っぱらからケンカは止めてくれよ」


 俺は慌てて止める。

 ハーレムメンバー同士の仲違いには気を配ってきたつもりだった。

 今まで、日常生活上の口論くらいはあれど、本格的なケンカはなかった。


(よりによって、従姉妹の2人がケンカとは……)


 いや、従姉妹だからこそか?

 こうして、俺は朝からちょっとした災難に見舞われてしまったのだった。

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