405話 同じドワーフ族

 朝っぱらから、ミナとミルキーがケンカをしている。

 仲の良い従姉妹同士でうまくやっていけるかと思っていたのだが、従姉妹だからこそなのか、お互いに遠慮がない。


「だから、コウタくんはボクのことが好きなので、ミルキーさんみたいなおばさんじゃなくて、若いボクを選ぶのが普通なのです!」


「コウタ坊はアタシのことも好きだぞ! それに、ミナはおっぱいが小さいからコウタ坊は喜ばないと思うけどなぁ」


「うぐぅ……。な、なんて失礼なことを言うのです!? これでも、Bカップはあるのです!」


「へぇ、そうかい。でも、それくらいならアタシの方があるさ」


「ふんっ。どうだか……」


「なんだとぉ!?」


「なんです!?」


 再び睨み合う。

 俺はため息を吐きつつ、口を挟むことにした。


「はい、そこまで!」


「「なに(です?)?」」


 2人は俺に視線を向ける。


「いい加減にしろよ。仲良くできないのか?」


「……」


「……」


「ケンカの原因はなんだ? 言ってみな」


「もちろんコウタくんなのです。ボクへ向けられていた愛が、ミルキーさんに奪われるのです」


 ミナは不満げに答える。


「なんでだよ? 俺の愛は、メンバーが1人や2人増えたところで変わらないさ」


 かなり今さらな話である。

 俺のハーレムメンバーは、ミルキーを含めて10人にも達する。

 シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン、ティータ、ローズ、グレイス、エメラダ、セリア、そしてミルキーだ。

 ミナが加入した時点でシルヴィとユヅキという古株メンバーがいたし、ミナと同時期にはリンも加入している。

 その上、それ以降も着々とメンバーは増え続けている。


「でも、ボクとミルキーさんは同じドワーフ族なのです。体型がある程度似ているので、古いボクなんかはきっと飽きられて……」


「そんなことはない」


「本当なのです?」


「ああ。ミナにはミナの、ミルキーにはミルキーの良さがある。同じドワーフ族だからといって、その魅力の方向性は似て非なるものだ」


 俺は断言した。


「コウタくん……」


 ミナは嬉しそうな顔をする。


「うん……。コウタ坊がそう言うなら……」


 ミルキーは納得したようだ。


「よし、解決だな」


 俺は手をパンッと叩く。


「じゃあ、コウタ坊! アタシと一発ヤろうぜ!」


「なっ!? なにを言い出すのですか!? ダメに決まっているのです! コウタくんには予定が……」


 ミナが慌てる。


「いや、別に構わないけど……。据え膳食わぬは男の恥! 朝の予定は全てキャンセルだ!!」


「ええええええええーーーーーーっ!?」


 ミナが絶叫する。

 そんなに変なことを言っただろうか?

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