378話 最後の記念撮影

 哀れな赤狐族の少女の受難が続いている。

 彼女は服と下着を剥ぎ取られ、生まれたままの姿になっていた。

 抵抗しようにも、両手両足をそれぞれ押さえつけられているため、ほとんど身動きができない。


「いい眺めだぜ。へへっ」


「そうだな。おっぱいは小さいけど、この膨らみかけがたまらんぜ」


「やめてください……。もう許してくださいぃ……」


「まだ分かってねぇのか。お前はこれから殺処分されるんだよ。その前に、俺たちで楽しもうってわけだ」


「やだぁ……」


 少女は涙目になって首を振る。


「泣いてんじゃねえよ。泣けば済むと思ってやがる」


「泣いても無駄だって教えてやるよ」


「殺処分が確定している奴隷で楽しめる機会なんざ、滅多にねえ。ある意味、ラッキーかもな」


 男たちは好き勝手に喋っている。


「さて、まずはどうするか。やっぱりまずは味見かな?」


「いや、その前に記録を残させてくれ。俺のコレクションに加えたい」


「出た出た。お前も物好きだよなぁ。大枚はたいてそんな魔道具を買うとは」


「へっへっへっ。いいだろう? 俺はこいつを、一生をかけて愛し続けるつもりだからな。写真の中で」


「けっ。変態が」


「まあいい。記録を残すなら、早くしろよ」


「おう」


 男は懐から小型の魔道具を取り出す。

 これは、地球で言うところのカメラに近いものだ。

 ただしその性能はお粗末なもので、画質も悪い。


 魔道具自体が高価なこともあり、こうして撮影した写真を保管したり、あるいは販売したりする文化はまだ根付いていない。

 この男のように個人が魔道具を持っているのは珍しいことだ。


「よし、それじゃあ、記念すべき最初のシーンだ。お前ら、そのまま手足を押さえてろよ」


「分かった」


「ああ」


 男たちは少女の手足を完全に固定した。

 少女は恐怖に震えているようだ。


「へへっ。いい顔してんじゃねえか。興奮してきたぜぇ……」


 男が舌なめずりをする。

 少女は泣きそうな表情をしている。


「さあ、撮るぞぉ……。いいか? 3・2・1……」


 カシャッという音が響いた。


「へへっ。上手く撮れたぜ」


「どれ、見せろよ」


「おお、これはいい」


「だろ?」


「ああ。こういうのも悪くないかもしれん」


 男が撮った写真は好評のようだ。

 一方の少女は、自分が何をされたか分かっていない。

 しかし、雰囲気で何か良くないことをされたことだけは理解できたらしい。


「な、何を……?」


「へへ。本人にも見せてやるか。ほら、これだよ」


 そう言って、男は写真を少女に見せつける。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 自分の裸の写真を見せられたことで、ようやく状況を察した少女が絶叫したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る