371話 ランクアップ

 セリアが『悠久の風』に正式に加入した。


「さて、次の件に移ろう。俺たちの冒険者ランクについてだ」


「ああ。もちろん、全員に対して大きな功績が認められるぞ。迷宮の討伐は、それだけ大きな事件だからな。まず、コウタ。お前さんは条件付きでAランクに昇格となる。おめでとう」


「おう。ま、当然だな」


 俺は迷宮を討伐し、平民から男爵位を授かった。

 それぐらいになると、冒険者ランクも高いものとなる。

 冒険者ランクが上がるのが先か、爵位を授かるのが先かぐらいの話だ。


「しかし、条件とは何だ?」


「そのことは後で話す。続いて、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リン、ティータ、ローズ。お前さんたちはBランクに昇格だ」


 ギルドマスターは俺の質問への回答を保留し、そう言った。


「やりました! Bランクです!」


「えへへ。嬉しいね」


「頑張ってきた甲斐があったのです!」


「へへっ。ありがてぇぜ」


「……みんなと一緒に上がれてよかった……」


「わたくしもBランクですか。光栄ですわ」


 それぞれが喜びの声を上げる。

 Bランクは一流の冒険者だ。

 少し前までの俺と同じである。


 AランクやBランク冒険者やかなりの戦闘能力を持ち、国からも重要人物として扱われる。

 だが、さすがに爵位を授かる者はごく一部だ。

 例えば俺と同程度の実力者を持つ者がいたとして、俺と同じように男爵位を授かることができるかと言うと、それは難しい。


 俺の場合は、この優秀なみんながパーティに所属しており、さらには男女の関係を持って末永くパーティに貢献してくれそうだという事情がある。

 ウルゴ陛下も、その辺りを考慮して俺に男爵位を授けたはずだ。


「次に、グレイスとエメラダ。お前さんたちはCランクに昇格とする」


「おう! ありがとよ!」


 グレイスは素直に喜ぶ。


「……えっと。あたしはEランクだったので、昇格するとしてもDランクだと思ったのですけど……」


 エメラダが困惑しながら言う。


「お前さんたちが行方不明になる直前の時点で、Dランクへの昇格はほぼ満たしていた。それから1か月近く迷宮の深部で戦って生き延びたのだから、Cランクへの昇格資格はある。それに、見たところ魔力反応が段違いに増えている。その成長ぶりを見る限り、Cランクでも問題なくやっていけると判断した」


「なるほど。そういうことなら問題ないと思うぞ。よかったじゃないか、エメラダ」


「……えっと。はい。わかりました。主様がそう仰るのであれば、謹んでお受け致します」


 エメラダは納得して、ランクアップを受け入れた。

 みんな順調にランクアップしているなあ。


 残るは、セリアの個人ランクと、『悠久の風』のパーティランク。

 それに、俺のAランク昇格に伴う『条件』とやらか。

 きちんと聞いておくことにしよう。

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