330話 水

 行き倒れていたセリアを発見した俺。

 とりあえず彼女を介抱することにした。


「あんなに干乾びていた身体が、今は信じられないほど潤っているのですにゃ……」


 セリアは両手をグーパーさせて、元気になったことを確認している。


「よかった。窮地は脱したということだな」


「はいですにゃ! ありがとうございますですにゃ。本当に助かりましたにゃ」


「いや、礼には及ばない。それより、立てるか?」


「はいなのですにゃ。もう大丈夫ですにゃ」


 そう言いつつ、セリアが立ち上がろうとする。

 しかし、その動きはフラついており、今にも倒れそうだ。


「おっと……」


 俺が慌てて支えると、彼女は俺の腕の中にすっぽりと収まった。


「あぅ……。す、すみませんですにゃ。まだ少し足元がおぼつかないようですにゃ……」


「無理もないさ。かなり衰弱していたしな」


 つい先ほどまで、迷宮で倒れ込んでいたぐらいだからな。

 魔力を込めた水を口移しで飲ませただけでは、全快とまではいかなかったか。


「よし、俺に名案がある」


「ふぇ? 名案ですかにゃ?」


「ああ。また俺の指示に従ってもらおうか」


 これをすれば、今度こそ彼女は全快となるだろう。


「はいですにゃ……」


 セリアは不安そうな顔をしながら、コクリとうなずいたのだった。

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