296話 ブラックタイガー撃破!

 俺たち『悠久の風』はブラックタイガーと戦っている。

 ミナの火魔法により、奴が怯んだ。


「ふふっ。隙だらけですわ」


 ローズが矢を放つ。

 それは見事に命中した。


「グルルァッ!?」


 ブラックタイガーは悲鳴を上げる。

 さらなる追撃のチャンスだ。


「……【ビッグスラッシュ】……」


「【裂空脚】だぜ!」


 ティータの斧攻撃とリンの回し蹴りが炸裂する。

 ブラックタイガーが吹っ飛んだ。


「後は俺に任せときな!」


「待て! グレイス!」


 俺の声を受け、彼女は慌てて止まった。


「何だよ? コウタ親分。今がチャンスだろ?」


「そう見えるだろうが、実際は違う。迷宮産のブラックタイガーは、行動パターンがある程度決まっているんだ」


「へえ?」


「ここまでの攻撃で体力を失ったブラックタイガーは、第二の行動パターンに入るぞ。油断するな」


 俺はそう言う。

 グレイスを含め、全員で油断なく構える。

 そして、ブラックタイガーは起き上がった。


「グオオォーン!」


 ブラックタイガーが吠える。

 すると、全身に赤黒いオーラのようなものを纏った。


「あれは……。確か……」


「……魔力解放……?」


 ユヅキとティータの言葉に、俺はうなずく。


「そうだ。あの状態になったブラックタイガーは身体能力が増し、攻撃パターンが変わる」


「マジか!?」


「ああ。気を引き締めて行くぞ」


 俺がそう言うと、全員が構え直した。


「グルアアッ!」


 ブラックタイガーは跳躍し、俺たちに向かって突進してきた。

 速い!

 先ほどまでよりも数段速くなっている。

 しかし、ギリギリで避けることができた。


「ガルルルゥ……」


「へへっ。今度はこっちの番だぜ」


 リンがそう言い、大技を繰り出す体勢に入った。


「【獣化】! ……からのぉ、【裂空脚】!!」


「【ヘビィビーストストライク】です!」


 リンはブラックタイガーに強烈な回し蹴りを放った。

 さらに、それに被せるように放ったシルヴィの斬撃が奴にクリーンヒットする。


「グルルァッ!?」


 ブラックタイガーが苦悶の声を上げる。

 そして弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた。


「さあ! 一気に決めるぞ!」


 俺がそう言うと、仲間たちはうなずいた。


「【ストーンキャノン】!」


「【ボルカニックフレイム】! なのです!!」


「……【ウッドランス】……!」


「【五月雨撃ち】ですわ!」


 ユヅキ、ミナ、ティータ、ローズ。

 怒涛の遠距離攻撃で、ブラックタイガーを追い詰めていく。


「グルオオッ!」


 ブラックタイガーは、苦し紛れに近づいてこようとする。


「甘いぜ! コウタ親分には指一本触れさせねえ!」


 グレイスがブラックタイガーの行く手を阻む。

 その隙に、俺は闘気と魔力を高めていく。


「オラァッ!! これで終わりだぁーっ!! 奥義【エクスカリオン】!!」


 俺の剣が、まばゆい光を放ち始める。

 そして俺はそれを振り下ろした。


「グオオオオォォーッ!!!」


 俺の剣が、ブラックタイガーを切り裂く。

 ブラックタイガーは断末魔を上げながら消滅したのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る