246話 最新ステータス コウタ 前編
「ふう……。帰り道は順調だな」
俺は馬車に揺られてながら、そう呟く。
「はい。ご主人様が馬車を手配してくださいましたおかげです」
シルヴィの言葉に、ユヅキたちがうなずく。
黒狼団を引き渡して一夜を明かした俺たち『悠久の風』は、さっそくエルカの町へと向かっているところだ。
宿屋の店員をつまみ食いできたし、いい思い出ができた。
「おう。前方200メートルのところに、魔物がいるぜ」
グレイスがそう言う。
彼女のファーストジョブは『盗賊』だ。
気配察知の能力に長けている。
また、素早さや器用さ、気配隠匿の能力においても優秀だ。
「どんな魔物かわかるか?」
俺は尋ねる。
「ああ。ゴブリンの群れだな。数は20匹ってとこだ。あんまり強くねえぞ」
「ふむ。せっかくだし、みんなのスキルで倒していくか。いくつか新しいスキルもあるし」
俺はそう提案する。
アルフヘイムでは、黒狼団の殲滅や黄昏の月との戦闘、それにエルフたちとの魔法の合同訓練や日々の狩りをしていて、みんなレベルが上がっている。
ゴブリン程度は、何の問題もなく倒せるはずだ。
ゴブリンの討伐がてら、みんなの最新ステータスを確認していこう。
まずは俺だ。
コウタ
種族:人族
称号:テツザン杯優勝者、ドラゴンスレイヤー、エルフの友
ファーストジョブ:風魔導師レベル7
セカンドジョブ:英雄レベル6
サードジョブ:剣豪レベル5
フォースジョブ:格闘王レベル2
フィフスジョブ:火魔法使いレベル15
シックススジョブ:土魔法使いレベル15
控えジョブ:風魔法使いレベル30、氷魔法使いレベル20、雷魔法使いレベル15、剣士レベル30、格闘家レベル30、鍛冶師レベル15、料理人レベル4
HP:B(06/30)
MP:B(23/30)
闘気:B(03/30)
腕力:B(10/30)
脚力:B(03/30)
器用:B(06/30)
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
パーティメンバー設定
パーティメンバー経験値ブースト
魔石蓄積ブースト
レアドロップ率上昇
アクティブスキル:
『風魔導師』ウインドカッター、エアバースト、ジェットストーム
『英雄』アクセル
『剣豪』ラッシュ、ダブルラッシュ、スーパーラッシュ、ジャッジメントソード
『格闘王』裂空脚、砲撃連拳、鉄心
『火魔法使い』ファイアーボール、フレイムアロー
『土魔法使い』クリエイトブロック、ロックウォール
パッシブスキル:
『風魔導師』パーティメンバー回避力向上、MP強化、詠唱時間短縮
『剣豪』腕力強化
『格闘王』脚力強化
『火魔法使い』MP強化
『土魔法使い』MP強化
『テツザン杯優勝者』闘気上昇(小)、腕力上昇(小)、脚力上昇(小)
『ドラゴンスレイヤー』全能力値上昇(小)、対竜族攻撃力上昇、対竜属守備力上昇
『エルフの友』自然回復力向上、MP上昇(小)
各種チートスキルのおかげで、順調にそれぞれのジョブレベルが上がり続けている。
上級ジョブである『風魔導士』と『英雄』のレベルがそこそこになり、十分に戦えるようになっている。
特に英雄のアクティブスキル【アクセル】は破格の性能だ。
俺が念じると、体感時間が圧縮される。
それによって、素早く動くことができるのだ。
難点は制御が難しく周囲を巻き込むリスクがあることだ。
自然や家屋程度ならまだしも、シルヴィやローズたちを巻き込んで殺してしまっては、悔やんでも悔やみ切れない。
そのため、俺はもっぱら他のスキルをメインで使っている。
例えば……。
「【エアバースト】」
「「ぎいぃっ!!」」
俺は風魔導士のスキルを発動し、ゴブリンを蹴散らす。
これは『風魔法使い』の頃から使えるスキルで、空気の塊をぶつける魔法だ。
発動が早く使い勝手が良い。
殺傷能力はさほど高くないが、相手の体勢を崩したり動きを止めるには十分だ。
さて。
ここから別のスキルに繋げて、ゴブリンたちを倒していくとするか。
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