213話 長老たちとの情報共有

 盗賊の少女グレイスの尋問を終えた。

 彼女は黒狼団という盗賊団の一員だ。

 この里に対して奴隷狩りを行う計画があったらしい。


「よし。グレイスから引き出した情報をもとに、対策を練るとするか。グレイスはしばらく拘束したままにしておけ」


「……わかった。ティータに任せておいて……」


「コウタくんがいない間にも、新たな情報を引き出しておくのです」


「へへっ! 女と分かれば、攻めようはある」


「ああ、よろしく頼む」


 俺はそう言うと、その場を後にする。

 これから忙しくなるぜ。

 まずは、長老やエルドレッドに会いに行くとするかな。

 俺はそう思い、地下牢を後にしたのだった。



「なるほど。そのようなことが……」


「この里を襲おうだとはな。実に愚かな奴らめ!」


 俺はグレイスから聞き出した話を長老とエルドレッドに伝えた。

 二人は怒りを露わにする。


「それで、どうする?」


 俺は尋ねた。


「当然、報いは受けてもらう。盗賊団は皆殺しだ」


 エルドレッドが答える。


「私も同じ考えじゃな。ただ、一つ気になることがある……」


「なんだ? なんでも言ってくれ」


「実は、今回の件に関して、黒幕がいるような気がするのじゃ」


「黒幕?」


「ああ。そこらの盗賊団に落とせるほどこの里は弱くない。それぐらいは奴らも理解しているじゃろう。裏で糸を引いている者がいるはずなんじゃ」


「確かにそうだな」


 俺は相槌を打つ。


「そいつが誰かわかればよいのじゃが……」


「いや、それは難しいだろう。それに、俺たちだけで手を出すのも危険だ。もっと戦力を整えてからだな」


 俺はそう提案し、二人とも納得してくれた。


「では、わしらは早速動くことにしよう。コウタ殿は、引き続きグレイスとやらの尋問を続けてくれぬか。そして、わしらと力を合わせて盗賊団を迎撃してくれると助かる」


「いいだろう。くれぐれも気をつけて行動するように」


「うむ」


「任せておけ!」


 こうして、俺は長老やエルドレッドは別れることとなった。

 黒狼団と戦いになったとして、主戦力は俺たち『悠久の風』になるだろう。

 だが、里のエルフたちも一定程度の戦力にはなるはずだ。


「さてと、みんなのところに戻るか。新たな情報は引き出せているかな?」


 俺はそんなことを考えつつ、シルヴィたちのところへと向かうことにした。

 そして、地下牢まで戻ってきた。


「ああっ! イクッ! イクゥウウッ!!」


「ほらほら! 休ませねえぜ!」


「ああっ! 壊れるぅううっ!!」


「人間はこれぐらいでは壊れないのです!」


 中からは、悲鳴のような声が聞こえてくる。

 ずいぶんと激しい責めを行っているようだな。

 俺は苦笑しつつ、扉を開いたのだった。

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