113話 ユーヤとの再会
数日が経過した。
今日の冒険者活動を終え、冒険者ギルドで受付嬢のセリアに魔石の買取処理をしてもらっているところだ。
「……以上の通りの買取とさせていただきますにゃ」
「ああ。それでよろしく頼む」
セリアが処理を進めていく。
「それにしても、コウタさんの『悠久の風』は稼ぎが右肩上がりですにゃ。いったいどんな秘訣があるですにゃ?」
「秘訣、か。そんなものはないぞ。ただ、みんなが一生懸命にがんばっているだけさ」
実際には、俺のチートスキル『ジョブ設定』『経験値ブースト』『パーティメンバー設定』『パーティメンバー経験値ブースト』『魔石蓄積ブースト』あたりの恩恵だ。
しかし、それを正直に言うわけにはいかない。
「ふうん。簡単には秘密を明かさないってことですかにゃ。まあ、それも当然ですにゃ」
セリアは、俺が何かしらの秘訣を知っていると考えているようだ。
鋭い。
やはり、冒険者ギルドの受付嬢を務めているような者は、経験上そのあたりの感覚も優れているのだろう。
「それでは、こちらが今回の報酬ですにゃ。お受け取りくださいにゃ」
「ありがとう」
俺はセリアから金貨10枚以上を受け取る。
そして、それをシルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンに配分する。
シルヴィの分は俺の分とともにストレージに入れておく。
俺が搾取しているのではなく、主に防犯上の理由だ。
「さて、帰るか。……ん?」
俺がシルヴィたちと冒険者ギルドの出口に向かい始めたとき。
見覚えのある面々が入ってきた。
「久しぶりにエルカの冒険者ギルドに戻ってきたぜ!」
「おいおい、はしゃぐなよ。ユーヤ」
「依頼報告を終えるまでが冒険者稼業だぞ。ギャハハハハ!」
ユヅキの兄であるユーヤに、チンピラ風ベテラン冒険者のアーノルドとレオンだ。
ユーヤ以外の『大地の轟き』のメンバーもいる。
「おう。久しぶりだな」
「おお! コウタの兄貴! お久しぶりです!」
ユーヤが元気よく頭を下げる。
少し雰囲気が引き締まったか?
俺たちと別行動の間、アーノルドたちにしっかりと指導してもらっていたようだ。
「アーノルドとレオンも。長旅お疲れ様だ」
俺はそう声を掛ける
「別に大したことじゃねえよ」
「ああ。それに、数泊したらまた次の町に向かうからな。ギャハハハハ!」
アーノルドとレオンがそう言う。
「ユヅキからその件は聞いている。しかし、いったいどこに向かうんだ?」
「武の名地テツザンですぜ! 兄貴!」
俺の問いに、ユーヤがそう答える。
テツザン?
聞いたことのない地名だ。
やはり町や人物についてはMSCの知識や経験を活かせそうにない。
俺が活かせるのは、あくまでジョブやスキルなどのシステム面の知識や経験だけである。
それにしても、武の名地か。
もう少し詳細な情報を聞いてみることにしよう。
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