114話 武の名地テツザンへの誘い
ユーヤやアーノルドたちと再会した。
次は武の名地テツザンという町に向かうつもりらしい。
「それは遠いのか?」
「えっと、確かここからだと……。馬で5日くらいの距離だったはずですぜ!」
ユーヤが指折り数えながら言う。
5日ならそこそこ近い距離だ。
ミナやリンも、それぐらいなら同行できるかもしれない。
「へえ。テツザンか。格闘家が集う町だったよな? それに、肉料理が盛んなはずだぜ」
リンがそう言う。
彼女のセカンドジョブは『獣闘士』だ。
本場で鍛えるチャンスである。
「ボクもそのような話は聞いたことがあるのです。格闘家向けの武具の開発も進んでいる町なのです」
ミナのファーストジョブは『鍛冶師』だ。
格闘家向けの武具について、最新の知識を得ることも可能だろう。
「いい機会だし、行ってみるのもよさそうだね」
「わたしもそう思います! ご主人様のお役に立てるよう、格闘も鍛えてみたいです!」
ユヅキとシルヴィは乗り気なようだ。
確かに、格闘を鍛えることに利はある。
まず、一定程度の鍛錬を積めば『格闘家』や『獣闘士』のジョブを取得することができる。
それをメインに据えて長く鍛えていくかは別として、今後の冒険者活動においてあって困るものではない。
ジョブの選択肢は多い方がいい。
それに、『格闘家』や『獣闘士』のジョブをレベル30にしておくことが、一部の上級ジョブの開放条件となっているしな。
今のジョブの育成を終えたら、切り替える可能性がある。
「よし。俺たち『悠久の風』でその町に行くことにするか。ちょうど、新しい刺激がほしいと思っていたところだ」
「さすが兄貴! 話がわかるぜ!」
ユーヤが嬉しそうにそう言う。
「いい判断だ。コウタもユーヤも、まだまだ上を目指せる」
「テツザンには、俺たちが世話になった道場がある。向こうで紹介してやるぜ。ギャハハハハ!」
アーノルドとレオンがそう言う。
アーノルドの今のジョブは『格闘家』、レオンの今のジョブは『剣士』のはずだ。
この口ぶりだと、かつて2人いっしょにこの地で格闘の鍛錬を積んでいたことがあるようだな。
格闘の鍛錬を積む目的は、もちろん『格闘家』のジョブレベルを上げることにある。
しかしもちろん、それ以外にも鍛錬を積む意味はある。
例えば剣士が格闘の鍛錬を積めば、剣を失った際のとっさの戦闘手段になるだろう。
『格闘家』のジョブレベルの向上に伴う各種の恩恵は受けられず、『格闘家』のアクティブスキルも使えないが、鍛錬することによる身体能力や技術の向上は普通に期待できる。
「それは助かるな。よろしく頼む」
こうして俺たちは、新たな目的地を定めた。
旅立ちの準備をしておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます