110話 最新ステータス ミナ

 みんなの最新ステータスを再確認しているところだ。

 俺、シルヴィ、ユヅキの確認は終えた。

 次は、ミナのステータスに目を通す。



ミナ

種族:ドワーフ

ファーストジョブ:鍛冶師レベル24

セカンドジョブ:槌士レベル20

控えジョブ:料理人レベル3、火魔法使いレベル3

HP:E(03/05)

MP:E(03/05)

闘気:D(03/05)

腕力:B(01/30)

脚力:E(03/05)

器用:D(04/05)


アクティブスキル:

『槌士』ビッグボンバー、ダブルボンバー


パッシブスキル:

『鍛冶師』パーティメンバー武器性能向上、火耐性強化、鉱石類ドロップ率上昇、腕力強化

『槌士』腕力強化



 ミナは『槌士』がレベル20に達し、節目を迎えた。

 新たなパッシブスキルは『パーティメンバー打撃力向上』だ。

 ……が、槌士はセカンドジョブに設定しているので、パーティメンバーに影響を及ぼすタイプのパッシブスキルは有効化されない。


「ミナ。槌士のパッシブスキルはどうだろう?」


「うーん……。一度、槌士をファーストジョブに設定してみてなのです」


「わかった」


 槌士がレベル20に上がったのは、つい先ほどだ。

 ミナの言う通り、一度試してみるのがいいだろう。

 俺は『ジョブ設定』スキルでミナのファーストジョブを『槌士』に変更する。


「よし。いいぞ」


 俺はそう言う。

 ミナがホーンラビットを見つけ、槌を構えて近づいていく。


「豪胆なる槌の神よ。我が腕に奇跡を与え給え。粉砕する一撃。ビッグ……ボンバー!」


 ドゴーン!!!

 大きな音を立てて、辺りに衝撃が広がる。

 ホーンラビットはもちろん一撃で死に絶えている。


「おお……。相変わらず、凄まじい威力だ」


「確かにハンマーの打撃力が上がっているようなのです。でも……」


「ああ。ミナの打撃力が高いのはもともとだし、上昇量はさほどでもなさそうか」


 MSCにおいて、初級ジョブのパッシブスキルの効果量はあまり大きくなかった。

 パッシブスキル目的でファーストジョブを設定するよりは、将来のことを見据えて育てたいジョブをファーストジョブに設定するのがいいと思われる。

 彼女は、鍛冶師が本職だ。


「ところで、火魔法ももう一度見せてもらえるか?」


 火魔法については、例のあの日に取得してから何度か試し打ちしてきた。

 一応はジョブレベル3まで伸ばし済みだ。


「わかったのです。ジョブを設定してくださいなのです」


「おう」


 俺はミナのファーストジョブに『火魔法使い』を設定する。

 ちょうど、少し離れたところにゴブリンがいる。

 やつはまだ、こちらに気づいていない。


「燃える火の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。火の玉を生み出し、我が敵を滅せよ。ファイアーボール!」


 ボンッ!

 火の玉がミナの手のひらから生成され、射出される。

 弾速はあまり速くない。

 人が投げる小石ぐらいの速度だ。

 こちらに気づいていないゴブリンの背中へ火の玉が近づいていく。


「ぎゃうっ!?」


 無事に背中にクリーンヒットした。

 が、一撃では討伐には至っていない。

 やつがこちらに気づいて、駆け寄ってくる。


「やっぱり、威力はそれほどでもないのです。……てえぃっ!」


 ミナのハンマーがあっさりとゴブリンを返り討ちにする。

 ファイアーボールのダメージによりやや動きが鈍っているゴブリンなど、彼女にとって敵ではないのだ。


「見事だ、ミナ。火魔法使いも、ジョブレベルを上げていけば威力が上がっていくと思うが……。どのジョブを設定するかが難しいところだな」


 本職の『鍛冶師』。

 現時点でそれなりに高いジョブレベルにあり、抜群の攻撃力を持つ『槌士』。

 ややめずらしいジョブであり、育てれば高い攻撃力と遠距離攻撃が両立できる『火魔法使い』。

 有力なジョブ候補が3つある。


 しかし、彼女のジョブ枠はファーストジョブとセカンドジョブの2つしかない。

 現状では、そのうちの1つを控えに回す必要がある。


「確かに、悩ましいところなのです。とりあえず、ファーストジョブは本職の『鍛冶師』ままがいいのです」


「わかった」


「セカンドジョブはボクとしてはどっちでもいいですが……。どちらかと言えば、一撃の攻撃力がある『槌士』の方が性に合っているのです」


「そうか。では、ファーストジョブを『鍛冶師』に、セカンドジョブを『槌士』に戻しておくぞ」


「はいなのです」


 やや強引に取得した『火魔法使い』ではあるが、設定は保留することになってしまった。

 サードジョブ枠も欲しいところだ。

 新たなミッションが追加されれば、その報酬でサードジョブ枠が開放されることもあるかもしれない。


 最後に、リンのステータスを確認しよう。

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