48話 ゴーレム撃破!

 階層ボスのゴーレムと戦っているところだ。

 俺、シルヴィ、ユヅキの攻撃魔法により、かなりのダメージを与えた。

 ここからは近接で戦っていくことになる。


「ふんっ!」


「せいっ!」


 俺とシルヴィは剣でゴーレムを斬りつける。

 剣は、土でできているゴーレムにあまり有効ではない。

 目的は、ダメージ以外にある。


「てえぃっ! なのです!」


 後ろに回り込んでいたミナが、力強くハンマーを叩きつける。

 そう。

 俺やシルヴィの剣による攻撃は囮だ。

 ミナのこの豪快な一撃を決めるための前フリだったのである。


「ピピッ。中度のダメージを確認……。修復します」


 ゴーレムが自己修復機能により、ダメージの修復を試みる。

 やつの魔力が切れるまで、もう少しのはず。


「あたいもいくぜ! オラオラァ!」


 リンの蹴りがゴーレムに叩き込まれる。

 ゴーレムに対しては、格闘も有効な攻撃方法の1つだ。

 もちろん、闘気によって手や足を覆っておく必要はあるが。


 やはり、ミナとリンを臨時メンバーとして勧誘したのは正解だ。

 近接職として、ゴーレムに有効打を持つ彼女たちは頼りになる。


 そして、しばらくは順調にダメージを積み重ねていく。

 ゴーレムの動きが鈍ってきた。

 魔力が枯渇気味で、ダメージの修復が追いついていない様子だ。


「よし。そろそろトドメといくか」


「わたしもいきます!」


「僕も合わせるよ」


 俺、シルヴィ、ユヅキは闘気の出力を増す。

 近接のアクティブスキルの出番だ。


「鮮やかなる剣の神よ。我が剣技に奇跡を与え給え。俊敏なる一閃。ラッシュ」


 ドゴン!

 俺の一撃により、ゴーレムの胴体に深いキズを付けた。

 通常であれば剣でゴーレムにダメージを与えることは難しいが、闘気を纏ったこの一撃は別なのである。


「豪快なる戦の神よ。我が戦技に奇跡を与え給え。敏速なる一閃。ビーストストライク」


「鮮やかなる剣の神よ。我が剣技に奇跡を与え給え。俊敏なる一閃。ビーストラッシュ」


 シルヴィとユヅキもそれぞれアクティブスキルを発動させる。

 俺と同じような、闘気を纏った一撃だ。


 彼女たちの攻撃により、ゴーレムの右腕と左腕に深いキズを付けた。

 もう討伐は目前だ。


「くらいな! オラよっ!」


 リンが強烈な回し蹴りを放つ。

 アクティブスキルではないが、しっかりと体重を乗せた鋭い一撃である。

 ゴーレムがとうとう体勢を崩し、横に倒れていく。

 そして、その倒れていく方向にはーー。


「これでトドメッ! なのです!」


 ミナがハンマーを振りかぶり、横向きに振り抜く。

 野球のスイングのようなフォームだ。


 ドゴーン!

 ゴーレムは盛大な音を立てて、倒れた。


「ピピッ。損傷甚大。魔力枯渇。……修復不可能。当機の活動を停止します……」


 ゴーレムは最後に無機質な声でそう言って、虚空に消えた。

 これにて討伐完了だ。

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