44話 エルカ草原での狩り
翌日。
さっそく、エルカ草原で連携の確認をすることになった。
パーティメンバーは、俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンの5人だ。
ここで、それぞれの戦闘能力を整理しておこう。
俺、シルヴィ、ユヅキについてはステータス画面で確認できる。
コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:風魔法使いレベル15
セカンドジョブ:剣士レベル13
サードジョブ:氷魔法使いレベル8
HP:D
MP:C++
闘気:E+++
腕力:D
脚力:E+++
器用:D
システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
パーティメンバー設定
パーティメンバー経験値ブースト
アクティブスキル:
ウインドカッター
エアバースト
ラッシュ
アイスショット
パッシブスキル:
MP強化
腕力強化
シルヴィ
種族:白狼族
ファーストジョブ:氷魔法使いレベル10
セカンドジョブ:獣戦士レベル12
HP:E+++
MP:D++
闘気:E++
腕力:E++
脚力:E++++
器用:E++
アクティブスキル:
アイスショット
アイシクルスピア
ビーストストライク
パッシブスキル:
脚力強化
ユヅキ
種族:茶犬族
ファーストジョブ:獣剣士レベル12
セカンドジョブ:土魔法使いレベル6
HP:E++
MP:E+++
闘気:E++
腕力:E++
脚力:E++++
器用:E+++
アクティブスキル:
ビーストラッシュ
クリエイトブロック
パッシブスキル:
腕力強化
「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の刃を生み出し、我が眼前の敵を切り裂け。ウインドカッター!」
ザシュッ!
俺の風の刃により、ゴブリンが息絶える。
俺は、『風魔法使いレベル15』『剣士レベル13』『氷魔法使いレベル8』のジョブを設定している。
ファーストジョブしか設定していない人が大多数のところ、俺はサードジョブまで設定している。
その時点で、かなりの優位性があると言っていい。
ステータス上は、MPの伸びがいい。
魔法使い系統のジョブを2つ設定している影響だ。
また、『風魔法使い』がレベル15に到達した際に『MP強化』のパッシブスキルを取得した。
表記上のステータスよりも、実際のMP量はひと回り上になっているはずである。
近接戦闘系のジョブは『剣士』しか設定していない。
しかし、そもそも普通の人は何か1つしかジョブを設定していないものである。
『経験値ブースト』と『パーティメンバー経験値ブースト』の二重の恩恵により、俺の『剣士』のジョブレベル13とそこそこの水準に達している。
決して近接戦闘が不得手というわけではない。
「凍てつく氷の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。氷の槍を撃ち出し、我が眼前の敵を貫け。アイシクルスピア!」
グサッ!
シルヴィの氷の槍により、ホーンラビットが息絶える。
彼女は、『氷魔法使いレベル10』と『獣戦士レベル12』のジョブを設定している。
MPと脚力が高めだ。
遠距離からは氷魔法で攻撃し、接近されたら脚力で惑わし攻撃するスタイルである。
現状のジョブレベルは『獣戦士』のほうが高いが、今後は『氷魔法使い』を優先的に上げていく予定だ。
MSCにおいては、特定のジョブレベルを優先的に上げていくために行うべきことが2つある。
1つは、そのジョブをファーストジョブに設定すること。
サードジョブよりもセカンドジョブのほうが、セカンドジョブよりもファーストジョブのほうが経験値が多く割り振られるのだ。
もう1つは、伸ばしたいジョブのアクティブスキルを積極的に使用することである。
魔物や魔獣相手でもいいし、その辺の木に向けて放ってもいい。
また、対人戦の模擬試合でも経験値は入る。
俺やシルヴィの場合、まだ一日中魔法を使い続けて狩りをするほどのMPはない。
MP残量に気をつけつつ、近接戦闘も織り交ぜていくことになる。
「鮮やかなる剣の神よ。我が剣技に奇跡を与え給え。俊敏なる一閃。ビーストラッシュ」
ズバッ!
ユヅキの剣閃により、ゴブリンが真っ二つに切り裂かれる。
ユヅキは、『獣剣士レベル12』と『土魔法使いレベル6』のジョブを設定している。
近接職と魔法職を1つずつ設定しているという点ではシルヴィといっしょだ。
シルヴィが魔法職をファーストジョブにしていることに対して、ユヅキは近接職をファーストジョブに設定している。
今後の『悠久の風』において、前衛としての活躍が期待できる。
「てえぃっ! なのです!」
ドーン!
ミナが大きなハンマーを振り回し、ホーンラビットを叩き潰す。
「見事だ。ミナ」
「ハンマーを使うのは久しぶりですが、何とかなりそうでよかったのです」
ミナの本業は『鍛冶師』だ。
ただし、『槌士』を設定して鍛えて時期もあったらしい。
ミナは『パーティメンバー設定』の条件を満たしていない。
そのため、俺は彼女のステータス画面を確認することができない。
ジョブレベル5で取得するはずのアクティブスキルを使えないそうなので、おそらくレベル3か4あたりだろう。
ジョブを設定することによるメリットは、アクティブスキルの取得、パッシブスキルの取得、ステータスの補正などである。
『槌士』のジョブを設定していないからといってハンマーを使えなくなるわけではない。
昔取った杵柄は、今も使えるというわけだ。
「あたいも負けてられねえな! オラオラァ!」
ダダダダダ!
リンの怒涛の蹴りがゴブリンに叩き込まれる。
「すごいです!」
「連撃速度なら、僕もかなわないかも……」
シルヴィとユヅキがそう言う。
リンの本業は『料理人』だ。
しかし、『獣闘士』として鍛えていた時期もあると言っていた。
なかなかの戦闘能力ではあるが、彼女もアクティブスキルは取得していない。
『獣闘士』のジョブレベルは、おそらくレベル3か4あたりだろう。
「へへっ。魔物狩りは久しぶりだが、格闘自体は時々使っているからな! 鈍ってねえぜ!」
「ん? 定期的に修練をしているのか?」
「いや、店内での実戦だよ。たまにあたいのケツを触ってくる客がいてな。そんなやつは、あたいの蹴りで返り討ちよ」
「お、おう……。そうだったか」
危ねえ。
少し前に、料亭ハーゼでリンのパンツを覗いてしまったことがあった。
この強烈な蹴りを放たれなくてよかった。
あれは不慮の事故だったし、見逃してくれたのだろう。
「よし。何にせよ、このメンバーならエルカ迷宮も問題なさそうだな」
「うん。まずは1階層を探索してみて、いけそうなら階層ボスに挑戦するのがよさそうだね」
「そうですね。がんばりましょう!」
シルヴィが力強くそう言う。
「オリハルコンを手に入れるため……ボクもがんばるのです!」
「あたいも、リトルブラックタイガーの肉のために戦うぜ!」
みんな、やる気十分だ。
あと数日程度エルカ草原で連携を詰めた後、エルカ迷宮に挑戦することにしよう。
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