ヴァルサ海賊団

Leo

プロローグ


「村長!!」



1人の若者が慌てて扉を勢いよく開ける。

パイプをくわえ、マッチを刷ろうとしていたところだった村長は、真っ白な顎髭と前髪の間から目をぱちくりさせる。



「どうした?そんなにあわてて……。」



若者の慌てようから、ただ事ではないと知った村長は、マッチとパイプを置くと、若者の側へと近づいた。




「か、か、海賊が……!海賊が村を襲ってて、しかもその海賊の名前が………ヴァルサ海賊団と……!!」


その言葉に、村長は声を上げると、膝をガクン。と落とした。その表情は、恐怖と言うよりも、という方が正しかった。



「ヴァルサ………会ったことは無いが、噂には聞いたことがある………だが、なぜじゃ?なぜ、あやつが……!」



「理由なんかどうだっていい!!アイツは、沢山の子分を隠してて、今ここに!連れてたんだ!!このタイミングを見て、元々こうする為に、んですよ!!」



怒りを顕にした若者の声が部屋に響き渡る。しかし、村長はハッ!とすると慌てて立ち上がり、



「こうしてる場合ではない!全員避難を…!」





「はい!」




村長の言葉に、若者は走って村の方へと戻って行った。


村長は、その背中を見守りながら、空を仰いでまるで何か呪文を唱えるかのように呟く……。



「シャルロッタ様………やはり、海賊を使うのは、間違いだったのでは……?」



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