古の夢を訪ねる

楓月

ひさかたの

春眠暁を覚えず。


とはよく言ったものだ。


眠い。明け方じゃなくても眠い。


新しいクラスでは窓側の1番後ろの席。


春の優しい光が差し込む窓際で、眠気と戦いながら古典の授業を聞く。




「春暁は『五言絶句』と呼ばれる形式の漢詩です。漢詩なので押韻は......」




孟浩然の気持ちに共感しながら、窓の外いっぱいに広がる春景を見ると、緑が顔を出した桜がいっぱいに広がっていた。


七分咲きが良いとか満開が良いとか言う人はいるが、私は葉桜が好き。




見惚れていると突然、びゅうと風が吹いた。



あぁ、どうして。



日の光がのどかに差しているこんな日に、どうして落ち着いた心もなく桜は忙しなく散っちゃうんだろう。








散りゆく桜は、再び咲くことはない。








ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ


こんなに日の光がのどかに射している春の日に、なぜ桜の花は落ち着かなげに散っているのでしょうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る